絶対に成功する工数管理のポイント6選!プロが教える必殺ノウハウ

工数管理プロジェクトマネジメントにおいて、工数管理の重要性が高まっています。

「工数管理」はプロジェクトマネージャーが一人で行うことは難しく、プロジェクトメンバーや会社全体を巻き込んで実施しなければなりません。

本記事では、プロジェクト工数管理を行う上で大事なポイント6つをわかりやすくまとめました。

※2018年6月15日更新

 

1.責任者を決める

工数管理を行う第一のポイントは、まず責任者を決めることです。

工数管理では、エクセルシートの構成や使い方が重要と思われる方が多いのですが、この“最初に責任者を決める”ということが工数管理の成功と失敗を大きく左右してしまうのです。

責任者は、“定められたルール通りに工数の入力をする”ことをチームのメンバーに厳守させる必要があります。

エクセルシートやツールを使っていても入力は“人”が行います。
作業をした翌日に工数を入力する人もいれば、月末にまとめて入力しようとする人もいます。
複数のプロジェクトをかけ持つ人なら、別プロジェクトの作業を行っていたのに、作業時間が同じだからと工数を入力してしまうかもしれません。

責任者を決めるということは、チームメンバーに“工数入力のルールを守らせる”ためです。
メンバー全員への声かけや、マスタのチェックなど、意識的なことが工数管理では重要になります。

また、入力だけでなく、工数管理をすることによるメリットをメンバーに共有したり、工数管理によって見えるバラ色の未来(バラ色は無理としても少しでも良い未来)を啓蒙したりという活動も責任者の重要なタスクです。

 

2.入力しやすい環境をつくる

毎日、工数管理を行うにあたり、使いにくいインターフェイスでは工数管理に時間を取られ、逆に生産性が下がってしまいます。
また、使いにくい環境では作業者の工数入力が続かないなどといった問題も発生します。
工数管理を行う際のエクセルシートは、メンバーが入力しやすいと感じるものにしましょう。エクセルシートは、以下のように準備します。

マスタシート
責任者がプロジェクトやメンバーを管理するシートです。
責任者のみが管理しますので、メンバーが編集できないようにロックをかけると良いでしょう。
工数シート
メンバーが工数を入力するシートです。エクセル編集の際に競合しないよう、人数分のエクセルファイルを別々に用意するのが望ましいです。
なお、1枚のファイルで人数分のシートを別々に作ることでも管理は可能です。
前者のメリットは編集が競合しないこと、後者のメリットは、フォーマット等の変更の際に管理が容易です。
例えば、ファイルが別々の場合、「顧客」という列を追加すると集計シートに集計されなくなる可能性があります。
エクセルはシート間のデータ参照はパワフルですが、ブック間のデータ参照は慣れが必要です。

 

2-1.プロジェクトのマスタを作る

マスタの作り方は、シート左上に社員番号と日付、プロジェクト名を入れ、シート名は「社員番号_年月」とします。
責任者は工数管理用のエクセルシートを作成する際には、プルダウンなどを用いて入力ミスを極力減らせるようなシートを用意するとよいでしょう。

プルダウンの作成方法は、エクセル上部のツールバーから、「データ」→「データの入力規則」→「設定」→「入力値の種類」で「リスト」を選択します。また、「ドロップダウンリストから選択する」にチェックを入れます。

別シートに用意したデータをマスタとして使う場合の便利な方法としては、「設定」の“元の値”の空欄に「=INDIRECT(“シート名!データ範囲”)」を入力します。

 

2-2.管理する時間単位は15分、30分、60分

工数を管理する際の時間は15分単位か30分単位をお勧めします。初めて工数管理を行うのであれば、1時間単位から始めてもよいでしょう。

15分単位や30分単位で時間を管理する理由としては、15分は1/4時間、30分は1/2時間であることが挙げられます。
これは責任者が集計する際の負担を減らすためと、人間が10進数を基準に用いていることにも影響しています。

もし、10分単位で工数管理を行うとどんな問題が起こるでしょうか?

10分≒0.167時間ですから、10分単位での工数の入力は集計時に小数点以下の数値を含むことによる誤差を発生させる可能性もありますし、人は0.167時間と聞いても10分だとわかりにくいからです。

15分単位で管理するメリットは他にもあります。

一日8時間、週に5日勤務をすると合計の労働時間は40時間=2400分になりますが、15分単位で管理すると、2400分のうちの15分は0.6%となり,誤差を1%以下にすることができるからです。

休憩については、日によって休憩時間が異なることもありますから、15分刻みの入力でも、標準で1時間と定めてもよいでしょう。
エクセルシート内でプルダウン形式で選択できるのが望ましいと思います。

 

2-3.予算の管理(工数計画)は月単位で行う

初めてエクセルで工数管理をはじめるのであれば、実績管理だけでよいでしょう。
予算管理も行いたい場合は、月単位での工数計画の作成をお勧めします。
工数は日単位ですが、予算などの計画は多くが月単位で行われているからです。

ただし、ある程度工数の見当がつく業種や、専任の管理者がいるのであれば、日単位の予実管理を行うこともできます。
製造業などで単一製品を生産しているのであれば、設計から試験、量産までにかかる時間はある程度予測できますから日単位の予算管理も可能でしょう。

ソフトウェア業界であれば、プレイングマネージャーが数多く存在しますから、日単位での予算管理は難しいことがあります。

 

2-4.出退社時間とプロジェクト合計時間の一致を検証できるようにする

出退社時間の記入は工数管理だけが目的ならば必要ありません。

しかし、出退社時間を管理することで、プロジェクトの合計時間と勤務時間が一致しているかどうかを確認することができます。
出退社時間とプロジェクト合計時間が一致してない場合は、文字の色が変わるなどのアラートを用意するとよいでしょう。

 

3.毎日入力する


人の記憶は時間が経つほど薄れていきます。
工数管理で起こりうることは、メンバーが工数の入力を忘れたり、適当な工数を入力してしまうことです。

人によっては数日分まとめて入力したり、翌日に入力したりする場合もあり得ますから、実際の工数と、報告された工数の間に差が生じてしまいます。
実際の工数と報告の工数に差が生じれば予定通りに進んでいると思っていたのに、期日に間に合わないという事態に発展します。

これらの原因は、毎日の工数の入力が“習慣化されていない”ことがら生じてきます。
工数を入力するベストなタイミングは、作業の終了直後か、当日の業務の終了後です。

メンバーの工数入力を習慣化させるためにも、責任者の存在、責任者からの(良い意味での)プレッシャーが必要不可欠となります。

 

4.多数の軸で集計できる

エクセルで工数管理を行う場合、1人につき1ファイルのエクセルシートを利用します。

責任者は月に1度程度、メンバー全員の工数管理表を集計します。
集計の際は、日毎で合算したり、月毎に合算します。
この際に集計しやすいシートであると、責任者の作業の負担も減りますし、ミスを防ぐことができます。

工数管理による効果を確認するために、分析できる軸は多数持つことをお勧めします。
プロジェクトごとや部署ごとに集計することが簡単にできるシートが望ましいです。

分析に必要な項目としては、部署ごと、カテゴリごと、プロジェクトごと、顧客ごとに分析できるとよいでしょう。

工数管理がきちんと行われていればプロジェクトごとの収支管理もできます。
ただし、その場合はメンバーの単価を設定する必要があります。

 

5.数字を分析して共有する


報告された工数を見ながら、チームメンバーと数値を共有することで “現状分析”が可能になります。

報告された工数が実際に費やした工数と違っていては、現状分析できませんから、責任者は工数入力が正しく行われているかチェックする必要があります。

<メンバーへの共有が重要>

工数管理では、責任者も毎日工数を入力するメンバーも大変な作業を伴います。

しかし、責任者はメンバーが工数管理の結果を共有することで、メンバー全員に「気づき」を与えることができるのです。
「気づき」というのは、今まで知らなかった自分自身やチームの働き方について、数値で見える化することで、新しい考え方やモチベーションが生まれてくることを指します。

筆者の感覚値ですが、最低でも2割、最高5割くらいのメンバーが「気づき」を獲得することになると思います。

また、工数管理を行うことによって、今まで隠れていた問題を発見することができます。
メンバー自らが、現状を適切に認識し、改善に向けて自ら行動を起こそうとするようになることが、数字を共有する最大のメリットです。

工数管理を行う上では、工数の入力を嫌う人もいるかもしれません。
しかし、情報を共有することによって、入力に対するモチベーションが上がり、ポジティブな気づきを得ることができます。
そして、チームでディスカッションを行うことで問題点が見えてきます。

例えば、誰がマネージャーだと工数が増えやすいのか、顧客によってどれくらい工数が変動するのかといった問題点や、どうすれば負荷を平準化できるか、どのような対策を行えば良いかが明確になります。

工数管理で大切なのは、マネージャーや経営者だけで情報を見るのではなく、メンバー全員で共有して、どうすればうまくいくかという意見を現場から引き出し、現場の社員が自ら行動を起こすきっかけをつくることです。

 

6.継続する

最も単純なことですが、最も難しいことが“継続すること”です。
工数管理の効果を確認するためには、数か月から1年くらいの長い期間が必要になります。

工数管理は長期間行うほど、進歩や問題点が明確になってきます。

長期的に工数管理を行って何も問題点が出ないのであれば、“よくできた仕組み”で組織が動いているということです。

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