【第2回】敏腕SIプロマネが語る -メンバー調整方法のポイント3つ-

SI プロジェクトマネージャ社内プロジェクトマネージャーで、数々のプロジェクトを率いてきた経験を持つ佐藤誠氏が語る、三回にわたって掲載する「プロジェクト管理の極意シリーズ」の第二回目です。
プロジェクト管理と一言で言っても、やるべきことは多くありますが、今回のシリーズでは受託開発のプロジェクトに焦点を当てて、それぞれのタスクごとにポイントをご紹介していきます。

第二回目では、協力会社も含めたプロジェクトメンバーの調整方法についてのインタビュー記事を掲載します。
メンバーいかんでは、プロジェクトの成否も変わってくるので、マネージャーとして重要な任務であるメンバー調整を、いかに行っているのか紹介していきます。

1.協力会社との契約交渉=信頼関係の構築がポイント

協力会社との契約は、プロジェクトを円滑に進めていく上で、マネージャーの大きな役割の一つとなります。
基本的には、それまでにお付き合いのある既存の協力会社の中から面談を行い、プロジェクトに見合うスキルを持った人間をリストアップして、アサインしていくことになります。

ここで重要なのは、とにかく数を打つことです。
面談だけでは見えてこない部分も多々あり、実際に一緒に仕事をすることで発見することも多くあるので、良いと思ったら採用することが鍵となります。(※予算の範囲内で)

仕事を共にしていく中で、スキルレベルが高いと判断した協力会社からは、同じ会社で働くメンバーを紹介してもらうなどの交渉も行います。
プロジェクト単位での各協力会社メンバーの見極めも、マネージャーとしての役割であり、場合によっては非常な決断を下さなければならないこともあります。

協力会社との契約の継続

プロジェクト 契約 アサインプロジェクトが上手くいけば、担当の協力会社と契約を継続することもあり、例えば5人と契約を継続する場合は、長期的な信頼関係を構築するために、例えば次のプロジェクトでは、2人と3人で別々のプロジェクトを担当してもらうことが多くなります。

次の案件が、5人アサインできるものであればアサインしますが、そうではないプロジェクトも多いため、関係を継続するために、他のプロジェクトで頑張って頂くことになります。
また、技術的にもプロジェクトごとに必要なスキルセットが変わってくることや、メンバー同士の相性の問題もありますので、プロジェクトごとにメンバーの組み合わせを変えることがあります。

また、協力会社のメンバーによっては、担当プロジェクトの終了が見えてきた段階で、あらかじめ次にどんなプロジェクトがあるのか紹介して、長期契約を結ぶこともあります。
この時の交渉で心がけるのは、双方がメリットを見い出せる会話をすることです。

例えば、「何月からこういった案件があるのですが、いかがですか」という提示をするだけでなく、スキルや人間関係等も含めてその人にお願いしたい理由も話すことによって、交渉が上手くいく可能性が高まります。
時として協力会社メンバーの方から、急に抜けたいと言われることもありますが、それが一番困ることなので、日頃から多くのコミュニケーションをとっておくことが大切です。

信頼関係の構築や、良好な関係性の維持という点で、特定の協力会社とは月例会議を実施し、案件共有や、情報共有を欠かさずに行います。
エンジニアなら、開発言語やデータベースの知識といった、より技術的なスキルが必要とされますが、リーダークラス以上になれば、チームをまとめる統率力やメンバーからの求心力も必要となるので、そのあたりも考慮して、毎回プロジェクトメンバーを組んでいくことになります。

こうして、自分たちにとってなるべく良い会社・良い人材との付き合いを継続していくことで、社員との交流も含めてプロジェクトを上手く推進することができるようになります。

プロジェクト メンバー チーム
<対談中、笑顔を見せる佐藤氏>

2.メンバーの調整方法①=チームの結束力がプロジェクト推進の鍵

プロジェクト リスク一つのプロジェクトに対してチーム全メンバーで動くことは少なく、複数のプロジェクトが同時並行で進行することが多くなります。
その際に心がけていることは、リスクがあると感じた場合には、各プロジェクトに自社の社員を1人以上を入れるということです。
例えば8つのプロジェクトが同時に動いている時に、社員が8人いる場合は、なるべく別々のプロジェクトを担当するように振り分けます。

社員がどうしても足りない場合は、協力会社の中でもエースと呼ばれるようなキーマンを該当プロジェクトへ割り当てます。
これは、一般的に協力会社に比べて自社社員の方が会社に対する帰属意識や、プロジェクトに対する責任意識を強く持っているためです。
社員にはもちろん、協力会社のキーマンにも社員と同様に会社情報やプロジェクト情報を共有します。

そして、彼らにプロジェクトを任せるからには徹底的に任せます。
マネージャーとしては、相談は随時受け付けるというスタンスを取り、都度コミュニケーションを欠かしませんが、基本的に各プロジェクトはメンバーに任せることを心がけます。

メンバーの中にはスキル的に微妙という方や、人間関係に苦労する方も少なからずいるので、そういった方のフォローも社員や、協力会社でもリーダークラスのキーマンにお願いします。

人との交流、メンバー同士の交流が仕事を行っていく上でもプラスに作用することは大いにあるので、積極的に交流ができる環境も整えます。

そして、協力会社の契約継続に関しては自社社員やプロジェクトメンバーの意見を参考にします。
ここでは自社社員やメンバーの責任意識を強調し、一つのプロジェクトに対して、「自分たちで決めたメンバーなのだからしっかりやり遂げよう」というような自発性を出させることが狙いです。
また、マネージャー目線から見る協力会社メンバーの働きぶりと、現場目線から見る協力会社メンバーの働きぶりは異なって見える部分が多々あるので、現場目線の声を重視した方が良いという判断をします。

その他の判断基準としては、必要最低限のスキルがあるかどうかだけではなく、メンバーと協力しながら仕事を進めていくことができるかといったことや、自分の意志や意見を持っていて、積極的にプロジェクトを進めていこうとすることができるかなどを、選定ポイントして挙げます。

ITプロジェクトに限らず、仕事は一人ではできないので、そういった面での協調性や積極性を重視します。

3.メンバー調整方法②=ベテランの経験に頼る

プロジェクト メンバー 管理メンバーの調整という点においては、チーム内の組み合わせも意識して調整を行います。
プロジェクトを進めていく上で、メンバー同士の相性は重要なファクターとなります。
例えば、メンバーを組む際にはベテランと呼ばれる人材を5人に1人程度の割合で入れます。

年齢で言うと45歳以上くらいの方で、いわゆる年の功、それまで培ってきた経験があるので、その経験は重宝できます。
20代や30代前半の若手とは違う時代を生きてきたということもあり、仕事を進めていく上での頑張りどころをよく抑えていて、いざという時にベテランの方はとても頼りになる存在です。

メンバーを集める際にはさまざまなルートを使うことによって、人の数が足りないということはほとんどありませんが、実際にプロジェクトが動き始めて1ヶ月くらい経つと、スキルが十分ではないメンバーがいることに気づくことがあります。
そういった人には、役職が上のメンバーや技術力のあるメンバーと組ませてフォローをしてもらいます。
もちろん、ベテランの人材には、こういったケースでも活躍を期待します。

また、場合によっては新人をプロジェクトメンバーに加えることもありますが、その時は最初から現場の仕事を依頼するのではなく、1ヶ月程度の研修期間を与えます。
上の立場の人間と新人を組ませることで、必要なスキルを身につけられるように働きかけをしていきます。

時間の面でも金銭面でも新人に対する投資を惜しむことなく、将来の活躍を期待して育成していくという考え方も大事にしています。

まとめ

プロジェクト管理の極意シリーズの第二回目はいかがでしたでしょうか。

「企業は人なり」という言葉もあるように、ITプロジェクトも結局は人が動いて初めて成立するものです。
その人材集めという点でも、協力会社を含めてプロジェクトチームの構成を行うことは重要な任務です。

協力会社との信頼関係の構築やメンバーの特徴把握などは、一朝一夕でできるものではなく、長い年月をかけて行っていくものです。
そういった意味で、マネージャーには忍耐力観察力も求められるでしょう。

次回はいよいよプロジェクト管理の極意シリーズの最終回です。
最終回では、プロジェクト終盤のポイント、プロジェクト炎上時の対策等についてご紹介します。

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