プロジェクト予算の立て方!正確な見積りでプロジェクトの安定稼働へ!

プロジェクト管理 予算 見積りプロジェクトを推進していく上で、予算は欠かせないものですが、その予算をいかに作成していけば良いのかについて要点を絞って解説していきます。
予算に必要な費目は何なのか、プロジェクトを推進していく上で確保しておくべきリソース等、頭では理解していても、実行に移そうとすると意外と難しいこともあります。

また、プロジェクトマネージャーとしては、経営陣に対する取り計らい方も重要です。
予算取りの段階においては、経営陣や顧客の顔色を伺うことよりも、先のことを考えれば、必要な予算を確保することの方が重要です。

経営陣に伝えるべきことをきちんと伝えるためにも、そのための根拠となるデータや資料を準備しておくことが大切です。
予算が決定した段階で、プロジェクトの成否が見えてくると言っても過言ではないので、どういったことを把握しておけば良いのかご紹介していきます。

※2018年2月22日更新

 

1.見積り精度の3種類

プロジェクトの見積りにはそれぞれ精度の異なるものがあり、作成のフェーズにおいて、3種類に分類することができます。
以下、詳細です。

1-1.超概算見積り

プロジェクトの定義フェーズで作成する見積りのことで、超概算見積りを作成するには十分な経験が不可欠です。
経験があれば、プロジェクト予算を直感ではじき出せるでしょう。

1-2.概算見積り

こちらも超概算見積りと同様に、プロジェクト定義フェーズで作成するものです。
過去に類似プロジェクトを手掛けた経験があれば、作成できるレベル。
別名「係数」見積り。

1-3.詳細見積り

上記の2種類の見積りが定義フェーズで作成するのに対して、詳細見積りは一段階後のプロジェクト計画フェーズで作成します。
計画フェーズになれば、プロジェクトのすべての作業の計画が出そろうので、すべてのコスト見積りをまとめて詳細見積りとします。
プロジェクト規模によっては、詳細見積り作成に数ヶ月を要することもあります。
別名「ボトムアップ」見積り。

いずれのケースにおいても、見積りの根拠をきちんと示すことが重要です。
とりわけ、経営陣は見積りが水増しされているのではないかという疑いの目を持って、予算を眺めることが少なくないので、何か指摘された場合にも的確に答えられるように、予算作りの根拠を明確にしておくことが求められます。

 

2.予算作成に必要な費目を把握する

プロジェクト管理 予算 見積り

予算は一度承認されると、それを変更するのは至難の業となります。
プロジェクト開始後に予算外の資源追加となると、経営陣もなかなか首を縦に振ってくれないでしょう。
ですから、予算作成の段階で適切に必要資源を獲得しておくことが大切です。

そのためにはまず、必要となる予算の費目を適切に把握しておく必要があります。
主にプロジェクトチームが行う作業がコストの相当部分を占めますが、それ以外にかかるコストも適切に算出しておく必要があります。

以下、予算に計上する費目の詳細です。

 

2-1.人件費

まずは、プロジェクトに限らず、ビジネスにおいて一番コストがかかるのが人件費でしょう。
社内の人件費に見落としや、算出ミスがあることは少なくありません。
多くのプロジェクトにおいて、経理やIT(情報技術)、市場調査、マーケティングなどの部門の社員がプロジェクトに投入されます。

プロジェクトに関わるメンバーの給与を予算に計上し、予算の実態を適正に把握する必要があります。
人件費はどのプロジェクトにおいても大きなウェイトを占めることは間違いありませんので、ここは多少時間をかけてでも正確に算出しておくべき費目です。

2-2.社外の人件費や物品コスト

社外から調達するヒトやモノのコストも予算に計上します。
チームの弱点を補完するためのパートナーや派遣社員の調達、プロジェクトの指南役となるコンサルタントの活用等、外部の人をプロジェクトに参画させることは少なくないので、そういった外部人件費も考慮しておく必要があります。

2-3.社内機器のコスト

社内機器のコストも計算に入れておきます。
例えば、コンピュータやプリンタ、コピー機などがその対象となります。

また、プロジェクトの参画人数によっては、オフィススペースも考慮する必要があります。
例えば、プロジェクトチームのメンバーが、それまで人事部門が利用していたスペースを使うことになれば、人事部門は他のスペースに移動することになるので、そのコストもプロジェクトに算出する必要があります。

2-4.物品コスト

プロジェクトを進める上では、紙やペン、その他の多くの事務用品が必要となります。
そういった費用を予算に計上するかどうかは、都度判断が必要になるが、考慮しておくべき費目の1つと言えます。

2-5.出張費

チームメンバーが出張する必要がある場合には、交通費や宿泊費、食費等を見積りに計上します。
上記のような諸経費を含めて、適正な見積り価格を算出して、プロジェクト予算を作成します。

 

3.直接費と間接費についての理解を深める

プロジェクト管理 予算 見積り

コストの検討に入る前に、直接費と間接費の違いについて理解することが求められます。
プロジェクト予算はこの2種類の費用からできており、直接費は単純にプロジェクトだけにかかるコストです。

一方で間接費は、プロジェクトにも使われますが、一つのプロジェクトだけでなく、全社的に多くのプロジェクトで共有する費用も含まれます。
例えば、採用に関わる人事部門のコストも間接費ということができるでしょう。
自分たちのプロジェクトのメンバーだけを採用するわけではなく、他チームのメンバーも採用しますので、多くのプロジェクトで共有する間接費ということになります。

以下に、プロジェクトで利用する直接費と間接費の主な具体例を紹介します。

3-1.直接費

人件費:プロジェクトに参画しているメンバーのコスト。社員の福利厚生費はケースバイケースで、直接費とすることも、一般管理費とすることもある。

原材料費:プロジェクトで利用する原材料のコスト。ペンや紙などが該当する。

機器費:プロジェクトで利用する機器のコスト。コンピュータやプリンタ、コピー機など。

法務費:プロジェクトで発生する法務関連のコスト。

出張費:プロジェクト関連の出張コスト。

教育訓練費:新人やチームメンバーの研修費や、システム導入・実施時のユーザー教育コスト。

マーケティング・広告費:プロジェクトの紹介・宣伝・広告・プロモーション・広報のコスト。特に新商品導入プロジェクトでは相応の費用が発生する。

3-2.間接費

施設費:プロジェクトチームが利用するオフィススペースやネットワーク、イントラ等の共通の設備費用。場合によっては、プロジェクト専用でオフィスを借りることもあるが、その場合は直接費として計上する。

マネジメント費・一般管理費:プロジェクトを間接的に支援してくれるようなマネージャーや社員のコスト(例えば、人事部のスタッフの採用にかかるコストなど)

 

4.予算作成時に注意するべき4つのポイント

4-1.経営陣には予算見積りが完成してから報告

プロジェクト管理 予算 見積り

一見、当たり前のことのように思われるかもしれませんが、意外とこれができていないケースも散見されます。
例えば、プロジェクトマネージャーが、たまたま経営陣と廊下ですれ違ったり、エレベーターで一緒になったりした時に、次のプロジェクトの予算はいくらなのか尋ねられることがあります。
その際に経営陣の圧力に屈し、完成前の予算をよく考えもせずに、適当な数字を答えてしまうこともあります。

その数字が経営会議で一人歩きして、あれよあれよという間に予算が決定してしまう可能性も否めません。
そうならないためにも、見積りが完成していない段階で予算について経営陣に尋ねられた場合は、「検討中です」という旨を適切に伝えることが大切です。

4-2.予算作成前にWBSを策定する

プロジェクト予算を作成するには、そのための根拠となる資料が必要です。
その根拠となるのがWBSであり、どの作業に何人日程度かかるのか、プロジェクト全体で何人月程度かかるのかといったことをあらかじめ把握しておく必要があります。

WBSを作成するには、プロジェクトの定義をきちんと行っておくことが求められます。
プロジェクトの定義が不正確だと、各作業単位に適切に細分化できないため、プロジェクト全体が楽観的になり、必要な予算を確保できないリスクが出てきます。

そうなる前にWBSをワークパッケージと呼ばれる作業の最下層にまで適切に分類し、そこから算出される予算を作成することが大切です。

4-3.メンバーの配置を適材適所で行う

プロジェクト計画が完成しても、実際にプロジェクトを遂行していくのは各々のプロジェクトメンバーです。
そのメンバーの能力を最大限発揮できるようなポジションで、作業を任せることが重要です。

そのためにも2番目のWBSの策定が肝心で、作業単位にきちんと分割されていることで、メンバーの割り当てもスムーズに行うことができます。
例えば、高い専門性が必要な作業にはそういったメンバーを割り当てることが求められます。

適材適所にメンバーを配置することで、スケジュール通りにプロジェクトが進む可能性が高まるので、必要な人員をあらかじめ確保できるように、必要に応じて取り計らっておくことが重要です。

4-4.リスクマネジメントを行う

スケジュールやメンバー、資金等の限られたリソースでプロジェクトを推進していく際に、リスクはつきものです。
そういったリスク評価を適切に行い、必要に応じて予算を多めに確保しておく等の対策を講じる必要があります。

プロジェクト開始後に追加リソースを得るのは、プロジェクト開始前の予算作成の段階よりはるかに難しいので、経営陣に適切に説明できるのであれば、あらかじめ予算の段階で多めにリソースを確保しておくことが重要です。

後手を踏むのではなく、先手を打ってリスクマネジメントを行っていくことがプロジェクト成功の鍵を握ります。

 

まとめ

プロジェクト予算は制約条件であるとともに、リスクでもあります。
プロジェクトを推進していくには予算が欠かせませんが、一歩間違えばすぐに赤字に転落してしまう、危険が潜む数字です。

新製品開発においても、プロジェクトマネージャーの講ずる手段は予算によって制約されます。
それが適正予算なのかどうなのかをきちんと議論し、経営陣に屈することなく、必要予算を確保することがマネージャーとしての役目でしょう。
予算検討段階において、資金が不十分だとわかっていても、経営陣・顧客の喜ぶ顔を見たいからという理由で、その予算を呑んではいけません。
彼らに喜んでもらうのはプロジェクトが無事終了して、製品が納品された段階で遅くありません。

プロジェクトの意味を理解し、本当に大切なことは何なのか考えて行動することが重要です。

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