工事進行基準とは!? そのメリットやデメリットについて!

工事進行基準 工事完成基準 メリット デメリット工事進行基準の適用開始から一定の年数が経ちましたが、その内容についての理解は深まっていますでしょうか。
本記事では改めて、工事進行基準の考え方とそのメリット、デメリットについてご紹介していきます。

工事進行基準が適用される前は、主に工事完成基準という考え方に基づいて、建設業やソフトウェア開発業は運営されていましたが、工事進行基準の適用に伴い、新制度を利用しての取引も増えてきました。

工事進行基準の概要を理解しておくことで、クライアントとの交渉を優位に進められる可能性もありますので、その考え方を理解しておくことが大切です。

※2018年2月22日更新

 

 

工事進行基準とは?その内容について!

工事進行基準 工事完成基準 メリット デメリット

工事進行基準は、欧米諸国においては一般的となっていますが、今現在、日本においても、2009年の4月から原則として適用されています。

適用されている業種は様々で、例えば建設業やソフトウェア開発業などの業種で適用されています。

工事進行基準が適用されるまでは、工事完成基準と工事進行基準のどちらかを選択することが可能でした。
その当時は工事完成基準での取引が主流で、それは交渉の際に、工事完成基準での見積もりを要求するクライアントが多かったためです。
しかし、現在では、適用条件を満たす場合は工事進行基準が適用される制度に改定されています。

工事進行基準は、工事完成基準と比べていくつかの違いがあります。
工事完成基準は、ある一定の工事、または開発などが終了し、最後にそれらの工事においての売上、経費などを計上するといった考え方になります。

対して工事進行基準は、開発期間中または工事中に売上や経費を進捗状況に対して分散して、その都度計上していくといった考え方になります。

工事完成基準の場合には、全ての工事が終わった後に、最後にまとめて収支を計上することになる状態でした。
そのため、クライアント側の依頼要件が曖昧な場合でも、それらがまかり通ることも少なくありませんでした。
例えば、開発中に修正要求があったり、作業の修正、または戻しなどがあったりした場合でも、ある程度許容されていた部分もあるでしょう。
それに伴って、どんぶり勘定になってしまう面もあったと言えます。

工事進行基準ができたことで、開発者側や建設業者などのベンダーにとって、工事中の修正や要望などにも追加で計上することができるようになったことがメリットとなりました。
完成してから大幅な赤字が計上されてしまうことや、作業の修正、作業の戻りなどによって、残業が増えてしまうといったリスクを減らすことができるようになったためです。

大幅な遅延のリスクも防ぐことができます。
クライアントの要望に応じてどんぶり勘定で動く必要がありませんし、進捗状況に応じて見積りを計上することができるため、ベンダーにとってよりメリットのある制度と言えます。

工事進行基準において、工事、または開発などの進捗を計る方法については、原価比例法やEVMなどが用いられています。
このように工事進行基準の場合、見積りの正確性も求められていると言えます。

 

工事進行基準のメリットとは?

工事進行基準 工事完成基準 メリット デメリット

工事進行基準が適用されることによって、現場ではどのようなメリットがあるのでしょうか。

まず、営業現場においては、工事進行基準が適用されることによって、曖昧な契約や一式契約などによるトラブルを減少させることができるようになりました。

また、顧客からの仕様追加や仕様変更においての要求が減る(=要求がある場合はその分の追加料金を請求しやすい)ので、現場の作業負担が減るといったメリットもあります。
つまり、それだけ作業量が減ることになるので、無駄な残業が減り、コストカットや職場環境の改善にもつながるでしょう。

また、追加の要求などがあることにより、工事完成基準の場合よりも収益が増える可能性も高くなります。

また、開発現場などにおいても、さまざまなメリットがあるといえます。
まず、工事進行基準が適用されることによって、顧客からのさまざまな要望が減ることになります。
このため、万一の場合の手戻りによる納期遅れが減少する、というメリットがあります。
同じく職場環境の改善や残業の減少などによって、作業者の負担を大きく減らすことが可能となります。

さらに、会社全体においての、赤字となっているプロジェクトを減らすことも可能です。
それまでは、プロジェクトが終わってみて初めて、赤字が計上されていたということもありますし、曖昧な契約やどんぶり勘定などもあり、顧客からの要求や、細かい修正作業などを許容していた部分がありました。
しかし、工事進行基準を取り入れることによって、こうしたケースが多くの場合においてなくなるので、この点でも大きなメリットと言えるでしょう。

また、会社全体としても、会社においての赤字プロジェクトを把握することができて、その数を減少させることができるという点でも大きなメリットがあると言えます。

また、工事完成基準の頃のように、多大な修正作業があった場合の人員の増員が必要なくなるので、人件費削減や残業代カットなど、大幅なコストカットも期待できます。

まさに、工事進行基準は、IT業界などにおいて、今までの悪しき習慣を一新することができる制度と言えるでしょう。

このため、工事進行基準を取り入れることによって、業界全体において健全な関係を築くことができるので、取り組むメリットが大きいと言えます。
しかし、工事進行基準は現在においても、多少なりとも曖昧な点が残っているので、十分に検討することが必要です。
まずは冷静に判断して、見極めることが大切です。

 

工事進行基準のデメリットとは?

工事進行基準 工事完成基準 メリット デメリット

工事進行基準を取り入れることによって、さまざまなメリットがあり、企業においてもさまざまな恩恵があります。

しかし、その反面、デメリットもあるということを知っておく必要があります。

まず、会社の営業現場において、工事進行基準を取り入れることで、詳細な説明が求められるというデメリットがあります。

工事完成基準の場合、完成後に売上げを計上することで、非常にシンプルなので、わかりやすいというメリットがありました。

しかし、工事進行基準においては、工事を行っている中でその都度進捗状況に応じて、売上げや経費を計上するという形になるので、複雑な側面もあります。
このあたりの説明などを求められることも多く、説明が不十分である場合にはトラブルに発展してしまうリスクがあります。

また、工事進行基準の場合、工事完成基準よりも内容が複雑となるので、顧客と契約をする時点でも、仕様に関する合意を取ることにも負担がかかり、営業の負担も大きくなります。

また、開発現場にあたっても、工事進行基準においては、コストなどの詳細な見積もりを行わなければならないので、コスト面に関する見積もり計算など、大きな負担が今まで以上にかかることがあります。
さらに工事進行基準では、進捗状況に応じて売上げ、経費が計上されるということになり、開発現場において進捗率を常に把握しておく必要があるので、このあたりも負担となるケースが多いです。

また、会社全体としても、工事進行基準を取り入れることによって、これまでの工事工程などを全般的に見直す必要がありますし、人員配置なども見直す必要性があるケースもあります。

このため、まずは工事進行基準を取り入れるためには、業務プロセスの標準化を行うことと、さらには迅速な進捗の把握が必要とされます。
さらに、工事進行基準を適用するためには、営業の時点で精度の高い見積もりを作ることが必要ですし、顧客からの合意をとるための努力も必要となります。

工事進行基準においては顧客からの追加要求、修正等の依頼は低減する可能性が高まりますが、プロジェクト開始時の説明や契約に関する説明、合意をとるための負担、進捗状況の把握などのさまざまな課題があります。

一方で、工事進行基準を取り入れることで、会社にとって大きなメリットもあるので、これらの課題をどのようにクリアしていくのかということが重要です。
業務の可視化を推進していくことになるので、より良い会社を作り上げていくことができるとも言えるでしょう。

 

まとめ

工事進行基準の考え方やそのメリット、デメリットについてご紹介してきましたが、いかがでしたでしょうか。

工事完成基準よりも工事進行基準の方が複雑で、セットアップが大変な部分もありますが、その分、正確な金額請求をすることにつながり、従業員の負担軽減にもつながります。
見積り作成や顧客との折衝において、プロジェクトマネージャーの担う役割も多くなりますが、結果的にベンダーにとって見返りがあるのは、工事進行基準の方と言うことができるでしょう。

まずは、その仕組みを的確に頭に入れて、自分たちが損をすることが無いように、工事進行基準という制度を利用してみることが大切です。

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