RACIチャートとは?作り方や使い方、RASICとの違いを解説

プロジェクトを進めるにあたり、RACIチャートの作成を求められたことがある方も多いのではないでしょうか。

RACIチャートとは個人の役割や責任者をチャートで表したもので、スムーズなプロジェクトの進行には欠かせません。RACIチャートを作成することで、急なトラブルにも迅速に対応するための道筋を明確にすることもできます。

この記事ではRACIチャートとは何か、作り方や具体的な使用方法まで解説します。RACIチャートについて詳しく知りたい方は参考にしてみてください。

RACIとは

RACI(レイシー)とは、チームでプロジェクトを運営する場合などに、そのチーム内の個人に割り当てられた役割を定義し、プロジェクトの責任の所在やタスクの実行者を可視化する方法の1つです。

RACIの重要要素には、以下の2つがあります。

  1. 業務やタスクや役割を確定すること
  2. 業務の責任者を確定させること

どれだけ大規模なプロジェクトでも、一つひとつの業務の積み重ねで成り立っています。そして1つの業務がどれだけ小さなもの、それが完了しないとプロジェクトは完了しません。そこでRACIを活用することで、プロジェクトの進行中に責任の所在が不明瞭になることを防ぎ、業務を確実に積み重ねていくことの手助けとなるでしょう。
また、RACIによって責任者が明確になっているため、プロジェクトチームのメンバーはどのようなときに誰に頼ればよいのかわかります。それぞれの役割が可視化されているため、報告・連絡・相談する相手に悩まず問題の早期解決を促します。

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RACIに含まれるそれぞれの役割の定義

実際のRACIチャートは、次のような形になっています。

■RACIチャートの例(簡略版)

Wさん Xさん Yさん Zさん
企画 R A C I
設計 I R A C
開発 C I R A

そして役割R、役割A、役割C、役割Iにはそれぞれ次の名称がついています。

R:実行責任者:Responsible
A:説明責任者:Accountable
C:相談先・協業先:Consult
I:報告先:Inform

RACIチャートを作成することで、誰がR、A、C、Iを実行するのかがわかります。
それではR、A、C、Iの担当者がそれぞれ何をするのかみていきましょう。

実行責任者:Responsible

実行責任者(R)は、その業務の実行に責任を担います。
大規模プロジェクトでは、業務の一つひとつが複雑になったり作業量が膨大になったりすることがあるため、1つの業務に実行責任者が複数人が任命される場合があります。
一方で小規模プロジェクトは、1人が複数の業務の実行責任者になることも考えられます。

説明責任者:Accountable

説明責任者(A)は、経営者や取引先、ユーザーから問い合わせがあったときの対応の責任を担います。
小規模プロジェクトであれば、実行責任者が説明責任者を兼務することができます。実行責任者はまさにその業務を手がけているため、説明も詳細になりリアリティもあります。
担当者を決める際には、説明責任の所在が曖昧になるのを防ぐために原則1つのタスクに1人を割り振ります。

相談先・協業先:Consult

業務の実行責任者が困難やトラブルに見舞われた場合に、相談先・協業先(C)がサポートしたり相談に乗ったりします。
相談先・協業先がいることで、実行責任者は、万が一のことを心配することなく、目の前の業務に集中することができます。

相談先・協業先は知識や経験が豊富な人が就きます。また、相談先・協業先は、トラブルが起きる前に実行責任者にアドバイスすることもあります。
例えば、「このままだと納期に間に合わないから、この作業は飛ばして、とりあえず80%完成した状態までもっていったほうがよいでしょう」といった業務上のアドバイスをすることができます。

報告先:Inform

報告先(I)は、実行責任者や説明責任者から進捗状況や完了などの報告を受ける役割を持ちます。
各タスクの実行責任者は、自分の担当するタスクの進捗状況についてこの報告先に連絡しなければなりません。
報告先の担当者は各タスクの最新の情報を把握しているため、それを説明責任者に伝えることが仕事です。相談先と報告先の役割には似ている部分がありますが、タスクの進行前や進行中に相談したいことがあれば相談先へ、タスクの進捗状況の報告や完了報告は報告先へと分けて理解するようにしましょう。

RACIに支援者(S)が加わったRASICとは

RACIにSの支援者(Support)を加えたRASIC(レイシック)があり、
この支援者はRACIの4項目をサポートします。

RACIのそれぞれの担当者には、全員重責があります。そのためRACIのミスはプロジェクトの進行に大きな影響を与えかねません。
そこで支援者がRACIの作業をサポートして、4項目の業務を完璧なものに近づけてプロジェクトを成功に導く役割を果たします。
また、支援者は業務を行う上で必要となる資材の調達や作業の実施を行います。
RACIの担当者だけではそれぞれが自分の業務にかかりきりになり、連携が難しくなる場合がありますが、そこに支援者が加わることで連携を強化できます。

RACIチャートのつくり方

ここまで、RACIについて紹介してきました。ここからは実際にRACIチャートのつくり方を解説します。主にやることは次の3つです。

  • プロジェクトのタスクと担当者を書き出す
  • 担当者にRACIの役割を割り当てる
  • 役割の確認を行う

プロジェクトに含まれるタスクとメンバーを書き出す

先ほど紹介したRACIチャートの簡略版をもう一度みてみましょう。

(再掲)■RACIチャートの例(簡略版)

  Wさん Xさん Yさん Zさん
企画 R A C I
設計 I R A C
開発 C I R A
  1. タスク(ここでは企画、設計、開発)
  2. 担当者名(ここではWさん、Xさん、Yさん、Zさん)
  3. RACIの割り当て

が確認できるようにします。
まずはタスクと担当者を決めて、RACIチャートに記入できるようにしましょう。
タスクを細かくしすぎると、それぞれのタスクで誰にどの役割を与えるかで悩むことになるので注意が必要です。

メンバーにRACIの役割を割り当てる

タスクと担当者が決まったら、担当者にR、A、C、Iの役割を割り当てていきます。

割り当ては適材適所でなければならず、これはプロジェクトチームのリーダーの人事スキルと労務管理スキルが問われます。
また、兼務にしても良いですが、効率的かつ確実に責務を果たせる人選をする必要があります。

役割の確認を行う

RACIの仕事は責任が重いため、プロジェクトチームのリーダーがRACIを割り当てたら、その該当者に確認を取る必要があります。
この確認作業で「自分にはその役割を果たす能力がない」と辞退されるかもしれません。その場合、別の適任者を探したり、兼務してくれる人を見つけたりする必要があります。

プロジェクトチームのリーダーは、本人への確認作業が終わってRACIチャートが完成した段階で、経営者や事業部長などの決裁者にこれを見せたほうがよいでしょう。
その後決裁者が承認したら、RACIチャートをプロジェクトチームのメンバー全員に公開します。

このとき、プロジェクトチームにプロジェクト管理ツールを導入していれば、メンバー全員に瞬時に報告することができます。

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RACIチャートをつくるメリット

RACIチャートをつくるメリットには、少なくとも次の3つがあります。

  • チーム内の責任を明確にできる
  • プロジェクトのスケジュールを管理できる
  • プロジェクトに必要な人材を確保できる

チーム内での責任の明確化

RACIチャートを作成しておけば、タスクごとに責任者が決まっているため、トラブルが発覚した瞬間に対策を講じることができます。プロジェクトチーム内での個々の役割と仕事内容、その成果が明確化されていないと、誰が何を行うのかが不明瞭なのでプロジェクトを進めにくいでしょう。
しかし、RACIチャートがあれば誰がそのタスクを担っているのかを一目で確認することができるため、進捗状況を尋ねたり必要であればサポートを要請したりすることも可能となります。

プロジェクトのスケジュール管理

RACIチャートを作成する際には、プロジェクトの完了に必要な日数がみえてきます。なぜならRACIチャートをつくるときにすべての業務を一つひとつ洗い出すことによって、業務の難易度や作業量が判明するからです。
そのためプロジェクトを完遂するまでの大まかなスケジュールを同時に組めるようになり、管理が容易になります。

プロジェクトに必要な人材の確保

RACIチャートが完成し、経営者や事業部長の了承が取れたら、その人材を囲い込むことができ、ほかのプロジェクトに人材を取られる心配がなくなります。
RACIチャートを作成することでメンバーに責任がかかっているので、プロジェクト体制が固まり、優秀なメンバーの取り合いを未然に防ぐことができるでしょう。

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RACI チャートを使うときの注意点

最後にRACIチャートを使うときの注意点を紹介します。

RACIチャートの対象は、プロジェクト内の一つひとつの業務になる

RACIチャートはプロジェクト全体を司るものですが、RACIチャートをつくるときは、プロジェクトを構成する一つひとつの業務に注目するようにしましょう。
つまり「このプロジェクトに必要なRACIは誰か」と探すのではなく、「この業務に必要なRACIは誰か」といったように人材を見つけることが重要です。

プロジェクトチームの全メンバーの関係性を可視化しているわけではない

RACIチャートが可視化しているのは、RACIを担う担当者の役割だけです。
プロジェクトチームにはRACIの担当者以外にも多数の人が加わりますが、RACIチャートはその人たち全員を対象にしているわけではありません。
プロジェクトチームの全メンバーの関係性を、RACIチャートから判断することはできないことを理解しましょう。

プロジェクトに大幅な変更があったら躊躇せずRACIチャートを更新する

プロジェクトの進行中に大幅な仕様変更があった場合、当然ですが業務内容がガラリと変わります。そして業務が変われば、RACIの適任者も変わります。
そのため、プロジェクトに大幅変更が起きれば、RACIチャートをつくり直す必要があります。

リアルタイムでプロジェクトの状況を把握するにはプロジェクト管理ツールを活用

RACIチャートが完成し、経営者や事業部長の了承が取れたら、素早くプロジェクトチームのメンバーに公表する必要があります。
このとき、プロジェクトチームにプロジェクト管理ツールを導入していれば、了承と同時にメンバー全員にRACIチャートを公開できます。

タスクや責任を確認する際や急な変更があった場合にも、管理ツールでスムーズに連携できるでしょう。

まとめ:プロジェクト管理ツールはマストアイテム

ここまでRACIチャートのメリットや作成方法、使い方について解説してきました。RACIチャートの重要性を理解した人は、自分がプロジェクトのリーダーになった際、RACIチャートを活用してみてください。

RACIチャートを活用する人におすすめしたいのが、クラウドログのプロジェクト管理ツールです。RACIチャート自体にもクラウドログのプロジェクト管理ツールは有効ですが、実行責任者(R)の業務も、説明責任者(A)の進捗状況報告も、相談先・協業先(C)とのやり取りも、報告先(I)とのコミュニケーションも、クラウドログのプロジェクト管理ツールで実施できます。クラウドログに興味をもった方はお気軽にお問い合わせください。

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