プロジェクトマネージャーの肝となる進捗管理とは?計画通りに進めるためのノウハウ紹介!

プロジェクトマネージャー 90%完了 進捗管理

プロジェクトを定義し計画して、実際に動き始めたら、プロジェクトマネージャーの責任の重点は、プロジェクトを期限通りに予算内で進めて仕上げることへ移ります。

しかし、チームのメンバーの仕事ぶりはどのようにすれば把握できるでしょうか。
どのようにして目標を達成し、加えて他の諸々のことを成し遂げれば良いのでしょうか。

プロジェクト計画書を念入りに作成していた場合は、チームメンバーがその計画書通りに作業を進め、仕様通りに完了してくれると思われるかもしれませんが、そのように上手くいくことは多くありません。

場合によっては、プロジェクトマネージャーが入り込んで管理・修正をしていく必要があります。
どういった管理が必要なのか、その辺りのノウハウや考え方について本記事内でご紹介していきます。

マネージャーとして進捗をコントロールする

プロジェクトマネージャー 90%完了 進捗管理

プロジェクトマネジメントにおけるコントロールの対象は、時間・コスト、品質、スコープ(作業及び成果物の範囲)など、様々なものがあります。
しかし、プロジェクトの舵をとることは、それほど難しいことではありません。
すでに計画があるのですから、それを活用しましょう。

監視の目的には、公式・非公式を問わず、以下のようなものがあります。

 

  • プロジェクトの現状と変更点をメンバーに周知させること
  • プロジェクトの現状についてステークホルダー(クライアントや顧客などの利害関係者)の期待のマネジメント
  • プロジェクトに変更を加える理由の説明
  • 当初のプロジェクト計画(ベースラインと呼ばれます)と現行計画の対比

また、「コントロール」といっても官僚主義的や権威・権力の集中といった支配の意味ではなく、情報を集めて進捗を監視・測定し、プロジェクト目標に合わせて進捗を調整することを指します。

これをしなければ、プロジェクトが軌道上を進んでいるか把握できず、期待する目標を達成できなくなってしまうため、プロジェクトを成功させるためにとても重要なことです。
設定された計画と資源を注意深くマネジメントして、すべての要素を連動させることで、スムーズにプロジェクトを進めていきます。

プロジェクトの計画と実績を定期的に比較し、進捗を監視することが大切です。
加えて、プロジェクトが軌道上に進むように、スケジュールや予算、作業計画を調整、変更、文書化してメンバーに周知させて共通の認識を得ましょう。

プロジェクトマネージャーが監視する対象としては、以下のようなものが挙げられます。

  • 計画と比較してスケジュール通りに完了しているか
    ※WBS(作業分解図)がコントロールに最適です
  • 実行中の作業にスコープクリーク(プロジェクトの肥大化)が起きていないか
  • コストの消化状況(予算と比較)
  • プロジェクトの参加メンバーや関係者(主要ステークホルダー、経営陣含む)の姿勢

監視対象は作業やスケジュール、予算に限らないことに気をつけましょう。
チームメンバー同士のコミュニケーションや協力関係、周囲の姿勢、作業の品質も重要です。
さらに、装置の稼働状況も監視する必要があります。

例えば、大型プロジェクトでは、コンピューターの使用状況に応じて、プロジェクトマネージャーが責任を負うこともあります。
誰も注意していない間に突然、装置が動かなくなることや消えてしまうことがあるかもしれません。

また、複雑な大規模プロジェクトのマネージャーは、プロジェクト作業そのものよりも長い時間を監視やコントロールに割く場合もありますが、これは問題ではありません。
マネージャーの仕事はプロジェクトの各要素を統合し、プロジェクトを成功に導くことだからです。

むしろ、プロジェクトマネージャーが作業そのものに長い時間を割いているときは赤信号です。
予算を捻出して事務処理する人を採用し、計画の更新などの作業をやってもらうのが良いケースもあります。
その他にも、監視・コントロールは一貫して行うことが重要です。

問題はいつでもどこでも起こりうるので、監視はプロジェクトの開始から終了まで継続して行う必要があります。

経験の浅いプロジェクトマネージャーの中には、最初の数週間はやる気満々であらゆることを監視しようとする人がいます。
そして、上手く進んでいると思うと手を抜きます。
こういったケースだと、やがて問題を見過ごし、プロジェクト終了時には混乱の山を築くことになってしまいます。
そうならないためにも、プロジェクトでは首尾一貫して熱意を高く保つことが大切です。

今まで見てきたように、プロジェクトマネージャーはプロジェクトの詳細について追跡することが求められます。
細かいことを捉えて対処することが得意な詳細志向の人なら良いかもしれませんが、全員がそうであることはないでしょう。

詳細志向ではなくとも、しっかりとした計画を立ててそれに沿うことで詳細に目を向けることができます。
プロジェクト規模の大小によらず、監視の時間を抑えたいのなら、報告書は適切なレベルの単純明快なものにしましょう。

プロジェクトマネジメント用のソフトウェアを使えば、現状や変更を加えた場合の影響の把握も素早く行うことができます。

「90%完了症候群」の落とし穴

プロジェクトマネージャー 90%完了 進捗管理

多くの人が時間のロスを簡単に取り戻せると楽観的に考えていて、中には単に自分をよく見せたいと思う人もいます。
ですので、プロジェクトの実績報告書「90%完了」という記述があったら、よく注意しておく必要があります。

未完了の10%の背後にとんでもない事実が隠されているかもしれません。
プロジェクトの総時間の30%で作業の90%を終えたにもかかわらず、残りの10%に当初の予定の200%の時間がかかることもあるのです。

複雑な作業の90%ほどの大部分が早期に完了したが、その後は91%,92%…となかなか進まないことがあります。
このような時は、本人に実情を確認する必要があります。

「90%完了症候群」の原因解明の指針を示しましょう。

  1. チームの主要メンバーとの会議や1:1の面談により残り10%の作業のスコープを調べる。
  2. 残りの10%の作業は本当に予測できるのかを考える。新しいアイデアや発明など創造性を要する作業のスケジュール作りは難しい。プロジェクトを進めるために必要なブレークスルーが予定通りに起こらないこともある。さらに自然発生的な事象も予定はできない。これらに対処して適宜スケジュールを変更していく。
  3. プロジェクトの現状の評価にはチームの率直さを求める。開かれたコミュニケーションを促して危険を伴う作業には楽観的にならないよういさめる。チームメンバーがあげてくる報告や見積もりは注視してウソや見果てぬ夢は排除する。

上記のような原因解明を行い、本人と対話を重ねるなどして、90%完了症候群を無くしていくことが大切です。

プロジェクト管理のための分析の考え方

プロジェクトマネージャー 90%完了 進捗管理

「90%完了症候群」のような問題に直面した時の対処のため、また問題が生じないように、日頃のプロジェクトの進行状況を管理する際に便利な手法を二つ取り上げます。

アーンドバリュー分析(EVA)

産業界の標準手法であり、①プロジェクトの進捗を測定、②プロジェクトの官僚人最終コストの予測、③プロジェクトの進捗にともない、スケジュールのサイト予算の差異を把握するといったことを行います。
アーンドバリューの基本的な考え方は、プロジェクト作業が完了すればそれに見合う「価値が生まれる」ということです。

分析では、ブランドバリュー、実コスト、アーンドバリューの3つの数値を統合してスケジュールによる差異、コストによる差異などを求めます。

これらから、プロジェクトのあるべき姿と現状を一貫した数値指標で示します。

EVAの算出には、あらかじめプロジェクト計画書で備えておく条件があり、WBSをしっかり作成して全てのワークパッケージとその成果物を洗い出すことや、各ワークパッケージにコストを割り当てることが該当します。

EVAではパフォーマンスの測定と予測が推測を排除した形でできて、「曖昧さ」を相当排除することができます。
しかし、データ入力や扱いには人手がかかり、作業の数値化も自力で行うのは容易ではないので、そこにかかる手間がデメリットと言えるかもしれません。

ガントチャート

ガントチャートでは、左側にプロジェクトの作業をリストし、右側にそれを図示します。
左側のリストに作業番号、開始・終了日、所要時間などを書き添えることがあります。
右側には作業の開始日・終了日をプロットして所要時間を横線の長さで表し、依存関係も図示します。

ガントチャートの最大の強みは、各作業の進捗が一目でわかることです。
プロジェクトを監視するには、各作業の開始・終了の計画と実績を比較し、完了の割合を見ます。
進捗状況に応じて、ガントチャートの横線を色分けすることも可能です。

これらは非常に便利なツールですが、自分で位置から作るのは非常に大変です。
しかし、プロジェクトマネジメント用のソフトウェアを使うことで手軽に分析ができるようになります。

まとめ

プロジェクト実行中に計画通り進めていくためにすべきことは、計画書をベースとしたコントロールと状況に応じた計画の変更です。

ただ、他にも社内政治などの対立や人員配置といった問題もあります。

それらを解決するには、監督者や主要メンバーを集めてプロジェクトの現状を話し合い、将来のマイルストーン(プロジェクトにおけるステップの目安)到達に向けてパフォーマンスを検討する会議を開くことも大切でしょう。

予算については経理部門からの報告書だけでなく社内の既存の会計システムに基づいて監視を行う必要があります。
予算の際や予測はグラフや表にすると視覚的に理解しやすく、伝わりやすくなります。
外部の客観的な立場から進捗やコスト、経費の追跡などの監査を受けるのもよいでしょう。

こういった様々なことに目を向けて情報の収集を行い、計画書の更新とともにチームやステークホルダーと修正点を検討して合意を得ることが大切です。

そして、新しいスケジュールや予算をもとに、遅れや経費がかかっている経路をたどって問題を早期に対処し、プロジェクトを円滑に進めていきましょう。

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