IT企業が予実管理を行う意味とメリット、予実管理に役立つツール3選!

IT企業 予実管理 メリット ツール

IT企業における予実管理の概要や重要性、メリット等に焦点を当てて、解説を行っていきます。

予実計画を立てて、その計画を実行していくことが、企業にとって求められる最も重要な考え方と言っても過言ではないでしょう。
なぜならば、それで結果が出れば一番良いですが、万一結果が出なかった場合にも、なぜ上手くいかなかったのか検証することができるからです。

予定を立てても、必ずその通り上手くいくとは限りません。
そういった場合に、次に何を改善すれば良いのか判断するための指標となるのが予実管理という考え方です。

是非、本記事をご覧いただき、改めてその重要性をご認識いただけますと幸いです。

※2019年9月17日更新

1.IT企業に必要な予実管理と経営戦略

IT企業 予実管理 メリット ツール

予実管理(予算実績管理)とは、予算と実績を比べて、分析や改善を行うための管理です。
業界や企業によって、予算管理とも呼ばれます。

企業の予算は、損益予算、資金予算、資本予算に分類されます。

1.損益予算

製造予算、販売予算、一般管理予算といった収益費用の予算です。

2.資金予算

資金調達や運転資金などの予算、現金預金の収支予算です。

3.資本予算

融資、投資、設備投資や研究開発の予算です。
これらの予算を表すものが、損益計算書予算、貸借対照表予算、キャッシュフロー計算書予算となります。

予算の設定には、トップダウン型とボトムアップ型があり、互いにカバーし合うことが理想的です。
IT業界ではトップダウン、ボトムアップの概念はよく使われ、イメージしやすいと思います。

トップダウン型においては、経営陣が各部門の予算を決めるケースが多いです。
そのため、現場の意見が予算に反映されにくいという特徴があります。

ボトムアップ型は、現場がそれぞれの予算を決めて集計します。
この場合、会社の利益目標に対して、ずれが生じる可能性が考えられます。

予算委員会を設置して、経営陣と各現場のスタッフが議論を進め、予算を決めると良いでしょう。
予算を設定するシステムを整備しておくことが大切です。

月別に予算と実績を比べて、できる限り差を小さくする取り組みが必要となります。
これを予算統制と言い、差異管理が主なものとされます。

目標から実績が著しく離れていた場合、原因を調べて対策をとる必要があります。

予算統制のPDCAサイクルによって、継続的な改善を図ることが可能です。

P:計画・予算編成、
D:予算に基づく業務の実行、
C:予算と実績の分析・評価、
A:改善策の提案・実行

IT企業の経営戦略でも、予算を計画し、予算統制を行います。

経営戦略を以下の4つの視点から考えたものが、BSC(Blanced Scorecard:バランス・スコアカード)です。

1.財務

総資産利益率、自己資本利益率、従業員1人当たりの総資産、1株当たりの総資産、自己資本比率など。

2.顧客

製品イメージ評価、顧客訪問回数、電話応答時間、返品率、解約率など。

3.業務

生産性向上率、新製品売上高、不良発生率、棚卸資産回転率など。

4.人材

社員定着率、教育回数、改善提案件数、資格取得数、欠勤率など。

財務のゴールに向けて、他の3つの問題点を洗い出します。
問題解決のために、KPI(Key Performance Indicator:重要業績評価指標)の設定が重要となります。
KPIは、予実管理に代わる具体的な指標となります。

定量化が難しい非財務指標についても考え、省略しないことが大切です。

2.IT企業で予実管理を行うさまざまなメリット

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予実管理を行う上で、ツールの導入を行うことで様々なメリットがもたらされます。

ツールを活用することで、予算と実績の差異を、リアルタイムで確認することができます
差異の変化を一早く知ることができるため、対策にもつながります。
期中に予算編成の回数を増やすことも可能で、IT企業でも行われる四半期予算、月次予算を細かく設定することができます。

2-1.予算編成のシミュレーションが可能

予算編成のシミュレーションを実行することもできます。
評価とフィードバックを繰り返すことで、PDCAサイクルが機能します。

IT企業は、管理工数が多いだけでなく、管理難易度は最も高いとされます。

日々の業務で予実データを直接入力することが可能で、予算の報告回数を減らすことができます。
その分、予実データと予算項目・業務フローを照らし合わせる工数に充てることができ、不要な予算項目の削減につながります。
会計管理や原価管理との連携も可能で、作業の効率化を図ることができます。
大量のExcelファイルを管理する必要がなく、ファイルの破損といったトラブル回避もできます。
データを転記する必要がなくなり、ミスの発生率も下げることができます。

ユーザへ集約データを提供できるので、クオリティが高いサービスの実現が可能になります。
従業員のモチベーションも上がり、ITスキルを向上させる力にもなります。

2-2.適切なKPIの設定によって、ステークホルダーの信頼を獲得

適切なKPIを設定することも可能で、各部門の担当者がKPIを意識するようになることで、企業の経営に対する関心が深まるというメリットもあります。

予実管理の優れたIT企業は、ステークホルダーからの信頼も得ます。
予実管理ツールにより、すぐに得られるメリットと、長期にわたって得られる効果があります。
長期的に見て、経営基盤を安定させることができます。
自社に最適な予実管理ツールを導入するためには、自社で抱える問題点を把握しておくことが大切です。

導入によって作業が中断しないかという点も大切です。
既存のデータをインポートできるか、他のツールと連携できるかなど、重要なことは事前に調べておくようにします。
IT企業では、人材不足との声を多く聞きますが、企業経営に関わるための情報収集は必要と言えます。
時間と人材コストを惜しんで、従来の予実管理を続けることが逆効果となるケースがあることも否定できません。

IT業界は変化が多く、リアルタイムなモニタリングが望ましいと言えます。
積極的にボトルネックを見つけることで、同業他社よりも優れた予実管理を実現することができます。

上場前であれば、上場審査によって翌月10営業日までに、月次決算が可能な体制が求められます。
月次決算を確定する時間が大幅に必要な場合、業務改善を行う必要性が生じます。
会計を含めた一連の処理を実行できる予実管理ツールが望ましいでしょう。

3.IT企業向け予実管理ツール3選

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3-1.IT関連業向け統合ソリューション / 株式会社オービック

プロジェクト管理統合ソリューションがベースとなり、OBIC7会計・給与・人事システムとシームレスに連携します。
IT企業の経営革新に貢献するツールです。

開発、販売、経費、売り上げ、受注、外注支払など、IT関連の全プロセスを案件ごとに管理します。
IT業界に精通するコンサルティングSEが、企業ニーズに対応し、最適なSIサービスを提供します。
拠点間でのリアルタイムなアクセスが可能で、スピード経営を実現します。

作業依頼に基づき、実行予算管理・損益予実対比を行います。
取引先ごとの請求管理と入金管理ができます。
案件No.によって、旅費経費の精算業務・出納管理が可能となります。

履歴管理機能、承認機能など、セキュリティが強化されます。
データ分析・活用により、タイムリーな経営戦略を支援します。
SES契約にも対応しています。

<メリット>

案件ごとに、個別原価管理も実現します。
連携システムが豊富で、業務の効率化と顧客満足度にもつながります。
日報・作業工数表の一元化により、業務の簡素化となります。

<デメリット>

費用は、別途お問い合わせが必要となります。

3-2.SAP BPC予算管理 / 株式会社テクノスジャパン

IT業界の製品ライフサイクルに対応する、迅速で柔軟な予算管理を支援します。
Excel、Word、Powerpoint、Webとの連携が可能です。
データ入力はExcelで行うことができ、入力後は即時にデータベースに反映します。

データの一元管理により、部門間や担当者間で情報を共有できます。
ファイルの受け渡しをする必要がありません。
SAP BPC内で、複数の予算データを管理することができます
各部門の予算は自動で収集・集計されます。

1度予実データの取り込みを行うと、自動的にレポートに反映し、レポート間での不整合が生じることがありません。

組織、勘定科目の変更はマスタのみ更新します。
フォーム/レポートの更新は自動配信されます。
フォーム/レポートのオフライン化で、サーバにアクセスできない場合もデータ入力や修正ができます。

業務支援機能があり、ユーザ別のアクセス制限、作業状況の一元管理、プロセスのパッケージ化、操作履歴の自動管理が行えます。

<メリット>

経営の見える化、予実分析の向上などを実現します。
Excelの操作性を継続するため、導入後の操作に関する教育が必要ありません。
予実管理以外の計数管理が活用できます。
自動でバーションが更新され、バーションアップの手間が省けます。

<デメリット>

オフライン化での作業中は、他のユーザが触れることがないよう、席を離れる際に注意が必要です。

費用は、別途お問い合わせが必要となります。

3-3.クラウドログ / 株式会社電縁

クラウドログは直感的な操作で簡単に工数を登録できるクラウド型のプロジェクト管理ツールです。
工数管理に特化しており、作業別や工程別、企業別、商品別など自社に合った軸で工数を登録できます。
また、ガントチャートやカレンダー形式で工数の登録や確認ができ、プロジェクトに応じて選択できます。
出力できるレポートが豊富なのも魅力の一つです。売上や工数原価、損益など各種レポートが即座に取得できます。

14日間の無料トライアルがあるので、ツールの使い勝手を十分に試せます。

<メリット>

ドラッグ・アンド・ドロップで簡単にガントチャートを作成することが可能です。
日本語・英語・中国語(簡体字)に対応し、タイムゾーンを選択することができます。

工数管理に特化した製品であるため、ガントチャートでの工程管理と工数管理を合わせて行うことができます。

<デメリット>

基本フリー+オプション課金という料金体系ではなく、定額制のサービスであるためランニングコストがかかります。自社の求める機能があるかどうかで購入を判断する必要があるでしょう。

4.まとめ

IT企業における予実管理というテーマで、その概要や、メリット、ツールのご紹介などを行ってきましたが、いかがでしたでしょうか。

さまざまな管理手法や管理ツールが出ていますが、予実管理も例外なく、企業経営においては重要な管理と言えます。

そういった意味で、すでに取り組まれている企業も多いと思いますが、改めてその効果検証やPDCAを回していくことの重要性を認識しておくことが求められます。

企業経営をより良くしていくために必要な予実管理を、積極的に進めていくことが大切でしょう

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