人事担当者必読!社内で浸透する「働き方改革」の具体的な進め方・取り組み方は

2018年の働き方改革関連法成立により、法規制も強化され、企業は労働環境の是正を急ピッチで進める必要があります。しかし、長年の企業風土や仕事への意識などから、自社内で働き方改革を推進するのに、難しさを感じている人事担当者も少なくないでしょう。

この記事では、残業の削減や新制度の導入など働き方改革の実施に課題を感じている担当者を対象に、働き方改革の進め方とそのポイントについて解説します。

1. 働き方改革の目的とは

急速に求められる働き方改革にはどのような目的があるのでしょうか。政府は、働き方改革関連法を検討するにあたり、実行計画として以下の9つのテーマを掲げていました。

  • 非正規雇用の処遇改善
  • 賃金引き上げと労働生産性向上
  • 長時間労働の是正
  • 柔軟な働き方がしやすい環境整備
  • 病気の治療、子育て・介護等と仕事の両立、障害者就労の推進
  • 外国人材の受入れ
  • 女性・若者が活躍しやすい環境整備
  • 転職・再就職支援
  • 高齢者の就業促進

これらの背景には、少子高齢化による人手不足があります。人材不足を補うために、働く人の数をより増やし、同時に労働生産性を上げることが目的です。多くの企業では、これを達成するために、育児や介護と仕事が両立しにくい、旧来の長時間労働と労働体系の改善をまず行うことが重要です

 

2. 働き方改革のメリット

働き方改革の浸透には、企業側にも多くのメリットがあります。ここでは、具体的な例を取り上げます。

メリット1:業務上のムダが省かれ、生産性が向上する

日本では、細部まで行き届いた、作りこまれた品質を大切にする文化があります。しかし、職場では過剰品質になる部分もあります。たとえば、社内会議のために必要以上に見た目が美しい資料を作成したり、そもそも会議の数が多かったりする傾向はないでしょうか。労働時間を削減するためには、必ず業務を取捨選択し、必要以上の業務を減らすことになります。そして、それは仕事の質を落とさずに生産性をあげ、固定費を削減することに繋がります

メリット2:長期の休職や離職を防げる

長時間労働は、過労とストレスによるメンタルヘルスを引き起こし、長期の休職者を増加させることにつながりかねません。また、柔軟性のない働き方は、介護や育児との両立が困難となり、貴重な人手を失うことになります。働き方改革により、これらを防ぎ、優秀な人材を長期間確保することができます。

メリット3:上司のマネジメント能力が高まる

育児や介護などの家庭の事情があったり、病気の治療と両立させる必要があったりするなど様々な背景を抱える部下をマネジメントするのにはスキルが必要です。働き方改革により、上司は仕事を分散させたり、業務の効率化を図ったり、通常勤務が可能な部下に不満がたまらないようにするなどを行う必要があります。これらのスキル向上には研修等も必要にはなりますが、結果的にマネジメント能力が高まると考えられます。

 

3. 働き方改革の課題

一方で、これまでの働き方を変え、働き方改革を推進するのには課題もあります。

課題1:「見かけだけ」に留まり、社員の負荷が増加する

法令の強化もあり、長時間労働の是正は喫緊に取り組むべき課題です。しかし、人事部や上司が「労働時間を削減するように」とだけ言っても、業務内容や進め方を見直さなければ難しいでしょう。その結果、勤怠上は残業時間が減っていても、持ち帰りなどのサービス残業を行い、逆に社員の負荷が増える危険性があります。

課題2:休職率や離職率が逆に高くなる

上記のような、見かけ上だけ勤務時間を減らすことが必要になった場合、労働環境は逆に悪化します。それによりメンタルヘルスによる休職者や、家庭と仕事との両立が困難で離職する人は増えやすくなるでしょう。

課題3:間違った進め方により、「やらされている」感が強くなる

人事部や担当者が主導して働き方改革を進める際には、社員が進んで新しい働き方を取り入れるようにする必要があります。望ましいと考えられる制度を導入したとしても、言われたからやっている、という意識では、従業員は自ら工夫をして生産性をあげようとはしないと考えられます。

 

4. 働き方改革の進め方のステップ

働き方改革が、メリットを生み出すように機能するには、人事部などの推進する人が正しいステップを踏む必要があります。

ステップ1:現状を把握する

自社内での課題を捉え、解決策を検討するには、まず現状の把握が大切です。たとえば、ある部署やプロジェクト、従業員に仕事が集中している可能性があります。このような場合には、ストレスを確認するためのメンタルヘルステストや、従業員別・部門別の労働時間や開発工数を確認することが重要でしょう。また、その部門の管理職に現状や困っていることを聞き取ったり、社内で匿名のアンケート調査を行ったりすることも必要です。

ステップ2:課題に対する必要な施策の検討

次に、抽出された課題に対する施策を検討します。労働時間が多くなっている従業員に対しては、産業医や保健師による面談を行うことがあげられます。業務の集中している部署や授業員に対しては、業務の再配分やリソースの追加を検討する必要があります。そして、過重労働傾向にある従業員を把握するためには、適切に労務管理を行わなくてはいけません。資料や会議が多すぎるなど、従業員が既に把握している課題もある場合、それに対して全社的に仕事の進め方を変更する必要もあります。介護や育児との両立が困難であれば、フレックス勤務やテレワークを導入すると解決するかもしれません。課題は1つではないため、複数の施策を検討する必要があります。

ステップ3:施策の実施

検討した施策を実施するステップでは、まずは一部の部門や対象者に対して試験的に導入することも必要です。長時間労働を是正するのに、働き方改革を推進する側が、検討に時間をかけすぎるのは本末店頭です。まずは、トライアルを行い、そこから制度に対する不足点を洗い出し、対策を検討することが重要です。近年ではAIを搭載したシステムやその他のツールによって、一部の業務は自動化できるようになっています。テレワークでは、web会議などを導入すれば、オフィスいるのと同じようなスタイルで仕事が進められるでしょう。これらのサービスでは、トライアルができるものもありますので、まずはトライアルをしてみてからでも良いでしょう。

 

5. 働き方改革成功のポイント

上記のようなステップを踏む場合でも、働き方改革を成功させるにはポイントがあります。

ポイント1:「面倒くさい」を減らす

働き方改革に限らず、新しい制度を取り入れる際に重要なのは、それが面倒でないことです。たとえば、残業を減らすために、残業をする場合には上司に業務内容を口頭で説明し、毎日承認を得ること、にする場合、多忙な部署ではそれが面倒かもしれません。いちいち承認を得るのが面倒となれば、持ち帰り残業を行う可能性があります。あるいは、新しいツールを取り入れても、その設定や操作が複雑な場合、従来のやり方を続けたほうが良いと判断され、活用されないこともあるでしょう。業務フローを検討したり、操作性も考慮したりする必要があります。

ポイント2:トップダウンでの方針の共有と意識改革

2018年にHR総研が行った調査によると、働き方改革に対して企業が感じている課題は、管理職のコミットメントや経営層の推進力が約半数となっています。業務の進め方や配分を変えるには、管理職の力が必要ですし、経営者が意識を共有し、トップダウンによって推進することが必要です。実際、働き方改革が成功している企業にはこれらが満たされているように思われます。

(出典:【HR総研】働き方改革実施状況に関する調査)

 

6. まとめ

働き方改革にはメリットも大きいですが、推進担当者が高い意識を持っているだけでは、社内に浸透させることはできません。成功のポイントや推進のステップを抑えて、社内に働き方改革が浸透するようにしましょう。

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