WBSの基礎知識と作り方を徹底解説!無料Excelテンプレート付き!

WBSとは、プロジェクトの全体管理やスケジュール管理に使用するものです。
しかし、目的がなく漠然と作成していると、下記のような悩みを持つ人もいます。

  • WBSを使っているが、形式的なものだから本質がよく分からない
  • WBSを書いているが、書き終わった後で活用できていない
  • WBSの書き方が分からず、いつも苦労している

本記事では、これらのお悩みを解決するためにWBSの基礎知識から作り方、WBS作成に役立つツールを紹介していきます。本質を理解して、WBSを書き上げることができれば、その後のプロジェクトがスムーズに進みます。

記事の最後にExcelテンプレートもご用意しておりますので、WBSの入門としてぜひご活用ください。

WBSとは

WBSとは、Work(作業を)(分解して)Structure(構造化する)の頭文字を取ったもので、その名の通りプロジェクトを構成する作業を分解し、構造化する手法です。作業を分解してできた最小単位をワークパッケージといい、スケジュール作成の元となります。
ワークパッケージに期間を設定することがありますが、これはガントチャートといい、WBSとは分けて考えるようにしてください。

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WBSの目的

60年以上の歴史を持つWBSですが、導入の主な目的は「プロジェクト完了までの全作業を抜け漏れなく洗い出すこと」です。成果物を詳細化して必要な作業を洗い出し、プロジェクトをゴールへ導く“道しるべ”となります。
前提条件や制約条件を考慮しつつ、抜け漏れなくWBSを作るのは難しく感じられるかもしれません。しかし、プロジェクト全体の作業を明確化することで、プロジェクト失敗のリスクが大幅に低減されます。
全体の作業を明確化した結果、作業が難しそうな箇所、リスクが発生しそうな作業を事前に把握することができます。また、各作業工程に作業者とリソースが正しく分配されているかどうか、重要な作業が抜けていないかを確認し、無駄な作業を取り除くこともできます

その他、過去の事例として保存して、将来のプロジェクトの際に参照するなど、幅広い活用方法があります。「将来のプロジェクトの際に参照できる」ことは、WBSの長期的な目的となります。

WBSの作り方の手順

ここからはWBSの作り方について紹介していきます。作業をどこまで分解していけばいいのか、分解した後の順序設定など、WBS作成の際の手順と気を付けるべきポイントを押さえましょう。

目的を明確にする

まずは今回のプロジェクトで何を作るのか、それに必要な作業をを整理し、プロジェクトの目的を明確化しましょう。プロジェクトが最終的に何を目指すのかによって、必要な作業内容や工程数が決まるためです。はじめに成果物のかたちを描き、そこから必要な作業を細かく分解し、構造化していきます。
このステップを踏むことが、漠然としたWBSになるのを防ぐことにつながります。

作業の洗い出し

WBS作成前は作業がまだ大きな塊のままになっています。この塊を所要期間がわかるまで分解していきます。作業範囲が明確でなければ所要期間がつかめないので、作業範囲の明確化にもつながります。このとき注意すべき点は担当者の合意を取ることです。通常、プロジェクトマネージャーがWBSを作成しますが、実際に作業する担当者と作業に対する所要期間にギャップが生じる場合があります。担当者の合意を得ることでこのギャップを抑えることができます。

作業の順序設定

作業の洗い出しが終わったら作業の順序を設定していきます。作業間の依存関係を意識してください。先行作業が終わらなければ後続作業を開始できないのか、後続作業と並行して作業できるのかを明確にし、作業を並び替えます。作業の順序設定を行うことでクリティカルパスが見えてきます。クリティカルパスとは、プロジェクトの進行を左右する作業の連なりです。クリティカルパス上の作業の遅延は即刻プロジェクトの遅延に繋がるので、クリティカルパスが一目でわかるように強調しましょう。

作業の構造化

作業を順序に従って並べ替えたら、次は構造化していきます。同じレベルの作業をまとめ、その下にまた同じレベルの作業をまとめていきます。
このときの注意点は、子レベルの作業を足し合わせると親レベルの作業になるという点です。反対に、親レベルの作業はすべて子レベルの作業に分解されるということです。このように作業を構造化することで、抜け漏れを防止することができます。

担当者とタスクの決定

次のステップでは、誰がその作業を行うのかを割り振っていきます。はじめにそれぞれの作業を、タスクレベルでより細かく区切っていきましょう。
タスクを区切ることができたら、分担します。全体のバランスを考えながら担当者を配置していきましょう。
分担の際に意識したいのは、できるだけ1つのタスクに1人の担当者がつくように組むことです。理由としては、1つのタスクを複数人で持ってしまうと責任感が薄くなり、プロジェクトが遅延したり、ミスが起きたりなど業務が効率よく遂行されない可能性があるためです。

スケジュールを管理する

タスクレベルで業務を整理し、担当を決めることができたら、作業スケジュールという視点でプロジェクトを改めて整理していきます。
まずは、タスクごとにどのくらいの作業時間を要するか、算出しましょう。タスクごとにスケジュールを切っておくことで、誰が、どのタスクをいつまでに完了しなくてはならないのかが明確になります。担当者が時間を意識して作業することにつながるでしょう。
また、タスクごとのスケジュールがあると、管理者がプロジェクト全体の進捗状況を把握できるようになります。より効率的よく管理するためには、一目見るだけで状況を視覚的に把握できるガントチャートを作成するのがおすすめです。

WBSのメリット

ここでは、改めてWBSのメリットをまとめてみましょう。

作業が明確になる

WBSは階層構造であるため、トップダウン式に全てのタスクを書き出すことができます。トップダウン式で成果物と作業の両方を考えながら作成することにより、プロジェクト目標沿った最適な作業だけを考えやすくなります。
また、ブレークダウンする過程で、誰が、何を、どのように行えばいいのかが明確に具体化されるため、作業の漏れを防ぐことができるでしょう。

役割分担ができる

タスクが細分化されることで、プロジェクトメンバーへのタスクの割り当てが可能となり、責任の所在が明らかになります。また、適材適所に役割を割り当てていくことで、全体の作業効率も向上させることができます。
それぞれの作業に担当者を設定するときに重要なのが、担当者の人数です。基本的に「1タスク1担当者」のルールを徹底しましょう。複数人の担当者が設定されているタスクは、担当者の責任感が薄れ、最終的に誰が責任をもって作業を完了させるか曖昧になる可能性があります。

スケジュールを組むことができる

WBSを作ることで各作業に必要な資源や所要期間がわかるため、適切に担当者を割り振り、正確なスケジュールを作成することができます。
また、事前に全てのタスクやそれらにかかる時間を見積もれるため、ある段階でスケジュールに無理が生じていることが分かれば、関係者へ事前に納期やスケジュール調整の相談をすることができます。

タスク間の関係性が見える

WBSはタスクを全て「見える化」するため、全担当者の共通認識を向上させ、それぞれのタスク間の関係性も明確化になります。このタスクが終わらないと次のタスクに進めないことが分かり、並行して進められるもの、絶対に遅れてはいけないものを把握することができます。
また、各担当者がタスクの前後関係を把握することで、自分のタスクが全体にどのような影響を及ぼすのかが理解できるでしょう。結果としてチーム全体での生産性を向上させることができます。

WBSのデメリット

メリットの多いWBSですが、もちろん作成することによるデメリットも存在します。ここでは、WBSのデメリットをみていきましょう。

アジャイル型の開発体制に適さない

WBSはプロジェクト全体で必要なタスクを細分化して構造化していくため、細かい開発サイクルを何回も回していくアジャイル型の開発体制とは相性が良くありません。
現代のソフトウェア開発において、プロジェクトのスタート時点で最終的なゴールの姿が確定していて、スケジュールの変更なく進行するケースは極めてまれです。ソフトウェア開発のように、複雑なものを正確に日単位で見積もってスケジュール化すること、スキルがバラバラな作業者にタスクを割り振る場合は、別の方法で管理することをおすすめします。

編集・確認が煩雑

WBSを使用する場合、計画が変更する度に、担当者はプロジェクトマネージャーに報告して、WBSの編集を行なう必要があります。また、作業のたびにWBSの中から自分のタスクと期限を確認することが煩わしく、意識すべきことがおろそかになってしまう可能性もあります。こうした点を解消するためにも、できるだけ編集・確認がしやすいドライブ上でWBSを管理する必要があります。

作成者の経験・価値観に影響される場合がある

プロジェクトマネジメントの経験や価値観が、WBSに反映される傾向があります。「自分が作ったものは正しいだろう」「前と同じようなシステムだから、今度も同じような工数でできるはずだ」といった思い込みです。その計画が実現可能であるのか、複数人で確認しながら作成することで、WBSの精度を高めていくことが大切です。

このように、広く活用されているWBSにも向いていない領域や作業負荷が高いといった問題があります。しかし、プロジェクト型などWBSが威力を発揮する案件が多数あることも事実です。

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WBSのおすすめツール5選

WBSの作成にはツールが必要です。紙やホワイトボードを使ってWBSを作成している現場もあると思いますが、修正や共有が難しくおすすめしません。今ではExcelをはじめ、WBSの作成を効率化するウェブツールがたくさんあります。プロジェクトに応じたツールを選んで、WBSを効率的に作成しましょう。

<Excel>

Excelはマイクロソフト社の表計算ソフトです。たいていのPCには標準でインストールされていることや日常業務で幅広く使われていることからExcelでWBSを作成しているところは多いです。

Excelの特徴はなんといってもそのとっつきやすさでしょう。データ入力や図形操作が容易で自由度が高いです。WBSのExcelテンプレートも多く出回っていることから、WBS作成の障壁が低いです。まずはExcelのテンプレートを利用して、プロジェクトに応じてカスタマイズするといった使い方がおすすめです。

ExcelでWBSサンプルをダウンロードする

<ウェブツール>

WBS作成用のウェブツールはたいていガントチャートとセットになっており、プロジェクト管理ツールという名称の方が一般的です。作業や所要期間などのデータを入力するだけでWBSを効率的に作成することができます。その他、タスク管理やスケジュール管理に役立つ機能を備えているので、プロジェクトに応じたウェブツールを利用しましょう。

<Wrike>

Wrikeはプロジェクト管理をはじめ、マーケティングやクリエイティブ、商品開発など横断的なソリューションを提供しています。プロジェクト管理では、WBSやガントチャートに加え、リソースの均等な割り当てやパフォーマンスを追跡することができます。どこでどれだけ時間を使っているかを把握すれば、リソースを効率的に使えます。

<Backlog>

Backlogは使いやすいインターフェースに拘ったプロジェクト管理ツールです。WBSやガントチャートの他にバーンダウンチャートやWiki機能があります。また、特徴的な機能の一つにコミュニケーションを促進する「いいね」機能や300種類以上のキャラクターアイコンが使えます。メンバー間のコミュニケーションを円滑にするにはうってつけの機能です。

<クラウドログ>

クラウドログはとにかく操作が簡単なクラウド型プロジェクト管理サービスです。はじめてプロジェクト管理を行う人や、ITリテラシーが高くない人でも十分使いこなすことができます。

また、レポートを豊富に備えているため上長やステークホルダーへの報告に活躍するでしょう。プロジェクトごとの損益確認にも役立ち、生産性の向上が見込めます。
障害管理やチケット管理、ナレッジデータベース機能などは持っていないので、プロジェクトの規模は数百万~3千万円未満が対象ゾーンとなります。

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WBSを活用するコツ

ここまでWBSの作り方を解説してきました。しかし、実際の作業において活用できなければ、WBSを作成した意味がなくなってしまいます。ここからは補足として、より効果的にWBSを活用するための方法を解説していきます。さらに、作成したWBSを最大限に活用するためのコツもあわせてご紹介。ツールや手法を取り入れて工夫することで、WBSはより効果を発揮してくれます。

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マインドマップで作業を分解してからWBSに落とし込む

WBSの作成のためには、やるべきことを洗い出す必要があります。しかし、やるべきことをいきなり列挙していくことは非常に難しく、抜けや漏れが発生する可能性があります。
そこで、作業を構造的(大項目→中項目→小項目→実作業)に書き出し、俯瞰してみる必要があります。この、構造的に情報を整理するのに役立つツールが「マインドマップ」となります。
頭の中に浮かんでいる作業やアイデアをすべて書き出しマインドマップ作成すると、頭の中も整理できます。WBSの抜け漏れを防ぐため、マインドマップを利用して、正確な作業分解をすることをおすすめします。

ガントチャートでスケジュールを意識する

ガントチャートは、分解した作業に担当者を割り当て、期限を設定し、横棒グラフを作って横軸に日程を、縦軸に作業内容や担当者を書き込み、プロジェクトの進捗を視覚的にわかるようにした図です。
スケジュールをガントチャートとして表現することで誰にとってもわかりやすく可視化できます。WBSで作業を分解して時系列順に作業を列挙した表の右側にガントチャートを作成しましょう。ガントチャートはExcelでも作成できますが、ガントチャート機能を搭載したクラウド型のプロジェクト管理ツールの利用がおすすめです。

不明瞭な作業は段階的に細分化

WBSの目的は作業を明確にすることですが、先の作業になると情報が不足していて不明確な作業が出てきます。その場合、不明確な作業を無理やり分解しても実際の作業に取り掛かる時に大きなズレが生じてしまいます。不明確な作業がある場合は、その前段階の計画を進めながら段階的に細分化していきましょう。

 標準化したWBSを作成

WBSをプロジェクトごとに作り直すのではなく、WBSを標準化したものを作成しておきましょう。毎回新たに作り上げることは作業の抜け漏れのリスクを高めます。プロジェクトの種類ごとに基準となるものを作ることで、WBSが洗練されていき、作成時間の短縮にもつながります。

まとめ

WBSは作業を分解して構造化する手法です。作業を分解し、作業範囲や所要期間を明確にすることで、スケジュールや工数見積もりを作成でき、作業範囲に対する担当者との認識のズレをなくすことができます。

WBS作成の手順は、プロジェクトを構成する作業を洗い出し、順序関係を明確にし、同じ作業レベルに構造化することです。紙やホワイトボードなどのアナログ環境ではWBSの共有や修正が難しいので、Excelやウェブツールをはじめとしたツールを使うことでWBSの作成を効率化できます。

WBSの基礎知識から作り方、効率化に役立つツールまで紹介してきました。タスク管理やスケジュール管理をスムーズに行うにはWBSが必要ですが、基礎知識だけでは不十分です。基礎知識や作り方を理解し、ツールを使った実践を通して、WBSをきちんと身につけてください。

今回はWBSのExcelサンプルをご用意致しましたので、この資料を参考にWBSを作ってみましょう。

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