工数見積もりはプロジェクトマネージャー(PM)なら避けては通れない作業です。
プロジェクトの工数を正確に見積もらなければスケジュールの遅延やコスト超過、ひいてはプロジェクトの失敗につながります。
しかし、正確に工数を見積もるには、見積もりの考え方や適した手法の理解が不可欠です。
- そもそも工数見積もりに対する信頼性がない
- どんな工数見積もり手法があるのかわからない
- 自社に適した工数見積もり手法がわからない
といったお悩みを抱えてはいませんか?
本記事では、そんなお悩みを解決するために正確な工数見積もりに必要な考え方や見積もり手法を解説します。
プロジェクトを成功に導くために正確な工数見積もりを身につける際にぜひご活用ください。
工数見積もりの重要性
工数を見積もっても結局想定通りにいかないという声がよく聞かれます。
そもそもプロジェクトがある程度進まないと必要な情報が得られないことも多いでしょう。
しかし、情報がないからといって手をこまねいていては何も状況は変わりません。
工数見積もりの精度を高めなければ、プロジェクトが進まないだけでなく、赤字に陥ってしまいます。
なぜ工数見積もりが失敗してしまうのでしょうか?
失敗する原因から工数見積もりの精度を上げる考え方について解説していきます。
工数見積もりが失敗する原因
工数見積もりが失敗する原因は大きく分けて2つあります。
<工数を勘で考える>
一つ目の原因は工数を勘で考えてしまうことです。
プロジェクトは一つとして同じものはなく、常に未知の作業の工数見積もりを迫られるでしょう。
今まで経験したことがないからといって勘を頼りにしてはいけません。
作業を細分化して経験したことがある作業まで落とし込むか、経験者に意見を求めましょう。
<バッファを設けない>
自身の能力への過信あるいは顧客の厳しい要求のためにスケジュールを短くしすぎてしまうのも失敗の原因です。
プロジェクトは往々にして問題なく進むとは限りません。
必ずバッファを設けて、予期せぬ事態に対処できるようにしましょう。
工数見積もりの種類
工数見積もりの考え方に加えて、工数見積もり手法についてもマスターしましょう。
さまざまな手法がありますが、プロジェクトに応じて適した手法を選択することで、工数見積もりの精度を上げることが可能です。
ボトムアップ見積もり
ボトムアップ見積もりは成果物や作業を分解し、構成要素の工数を算出し、積み上げて全体の工数を見積もる手法です。
成果物を機能単位で分解したり、実際にやるべき作業をWBSのように分解する方法があります。
分解することでやるべき作業が明確になり、システム要件が把握しやすいメリットがあります。
しかし、要件が定まっていないと作業が不明確なので、プロジェクトが進まないと使えないといったデメリットがあります。
類推見積もり
類推見積もりは過去の類似するプロジェクトを参考に必要な工数を類推する手法です。
過去に類似の事例があればその実績値を使うことができるので、比較的容易に工数を見積もれるメリットがあります。
しかし、類似の事例といってもプロジェクトが全く同じではないため、見積もり精度が低いといったデメリットがあります。
また、担当者の経験に寄るところも見積もり精度に影響を及ぼします。
パラメトリック見積もり
パラメトリック見積もりは、特定の係数モデルを利用し、重み付けをして工数を算出する手法です。
FP法やCOCOMO/COCOMO IIといった手法があります。
以下はFP法の例です。
機能といった要素に必要なファイル数やレコード数をもとに重み付けをするため、見積もりの根拠が明確で顧客の理解が得られやすいメリットがあります。
しかし、見積もりに必要な情報が厳密に決められており、プロジェクトが進まないと見積もることが難しいというデメリットがあります。
三点見積もり法
三点見積もり法は、作業毎に最頻値・楽観値・悲観値を設定し、値を掛け合わせて工数を算出する手法です。
現実的な工数である最頻値の他に、最良な状態でプロジェクトが進んだ場合の楽観値や最悪な場合の悲観値を掛け合わせた期待値が工数になります。
多少のリスクを含めた一点見積もりよりもバッファが設けられているため、誤差を減らせるメリットがあります。
まとめ
工数見積もりの考え方や見積もり手法について解説してきましたが、いかがでしたでしょうか?
考え方と手法のどちらが欠けていても正確な工数見積もりはできません。
毎回、見積もりがうまくいかないと嘆く前に失敗する原因を理解しましょう。
正確に工数を見積もらなければプロジェクトは失敗につながります。
プロジェクトに応じた見積もり手法を理解し、実践することで見積もりの精度を上げましょう。