IT企業の働き方改革は外国人労働者がカギ!受け入れのポイントを理解しよう

働き方改革により、長時間労働が見直されつつあります。同時に、少子高齢化による労働力の減少も問題視されています。これらの課題は、需要が増加しているIT企業では特に深刻です。この記事では、IT企業が働き方改革を推進するのに欠かせない存在である、外国人労働者について受け入れのメリットと注意点を解説します。

 

 

1.なぜ今、働き方改革に外国人労働者が重要なのか?

政府は、外国人労働者を受け入れる体制を一層整えています。なぜでしょうか?主な背景を取り上げます。

1-1.少子高齢化による、労働人口の減少

平成30年に経済産業省が発表した、「ダイバーシティ2.0」の報告書によると、15歳~64歳のいわゆる生産年齢人口は減少し続け、2065年には全体の50%にまで落ち込むことが予想されています。

そのため、政府はIoTの活用などにより、1人1人の生産性を向上させると同時に、女性や高齢者の雇用を促進することで、労働力を拡充しようとしています。しかし、それだけでは十分とは言えず、外国人の労働力が必要とされています。

1-2.人材獲得力が低く、外国人労働者を活用しきれていない

上述の報告書では、日本における外国人の就業者数が他国と比べて低く、その理由として日系企業が他国企業と比較して、働きたいと思われないこともあげられています。

上記の図表では韓国系企業は、「働きたくない」と回答した割合が日本よりも高いにも関わらず、報告書の別データによると、韓国での外国人就業者の割合は日本よりも高いことが示されています。つまり、日系企業は欧米企業と比較して、外国人労働者にとっての魅力が低いだけではなく、アジア諸国と比較して、魅力に感じている人材さえも獲得しきれていないと推測できます。逆にいえば、活用の余地が残されています。

 

2.外国人労働者が増加し、基盤が整いつつある

政府は上記のような状況に強い危機感を感じ、在留資格を新設するなどの環境整備を進めています。このような環境整備もあり、情報通信業での外国人労働者数は年々増加し、平成26年時点では約3.2万人にまで増加しました。つまり、労働力不足を外国人労働者で補える環境が整いつつあります。

(出典:経済産業省 海外IT人材の活用について

2-1.IT企業での外国人労働者受け入れのメリット

業種や状況によっては、外国人労働者に日本人の仕事が奪われるのではないか、といった不安の声もあります。しかし、情報通信業ではメリットの方が大きいと言えます。主な理由を説明します。

2-2.将来不足するIT人材を拡充できる

IT技術の進歩により、ITの需要は年々高まっています。しかし、その需要と労働供給力のバランスが取れておらず、人材不足が課題となっています。

平成28年に経済産業省が発表した「IT人材の最新動向と将来推計に関する調査結果」によると、2019年をピークに入職率が退職率を下回り、人材の供給力が低下すると予想されています。これらの供給力を高めるためには、ITスキルを持った外国人労働者が必要です。

 

3.労働力の補填により、労働環境が改善する

IT企業の人材不足は既に深刻であり、多くの従業員が長時間労働と心身の疲労に悩まされています。需要が増加する一方のIT企業にとっては、人員を追加せずに労働環境を改善しようとしても、限界があるかもしれません。外国人労働者により、十分な人材を確保できれば、労働しやすい環境が生まれます。労働環境が整えば、求人応募数が増加するため、結果的に日本人の人材確保にも繋がります。

3-1.海外のエンジニア人材は豊富

2011年のIPAの報告書によると、アメリカ、中国、インドにおけるIT技術者数は日本と比較して約2倍にものぼることがわかります。また、経済産業省の資料では、ベトナムやタイ、インドネシアにおける日本のIT企業への就業意向が高く、実際にベトナムにはブリッジSEを育成し、日本からの仕事を請け負う体制を整えている企業もあることが示されています。

(出典:経済産業省 「IT人材の最新動向と将来推計に関する調査結果」

3-2.アジアの人材は、スキルレベルを把握できる

アジアの人材については、IPAがITPECアジア共通統一試験を支援しています。この試験は、日本の国家試験である「情報処理技術者試験」と同等内容であり、同じ尺度でスキルを評価できます。なお、この試験の有資格者は、日本就労の在留資格基準の特例を受けることができますので、受け入れのハードルが低いというメリットもあります。

3-3.IT企業での外国人を受け入れる際の注意点

しかし、外国人労働者を受け入れるには注意点もあります。

3-4.労働基準法の適用を受ける

外国人労働者も日本人と同様に労働基準法などの法律の適用を受けます。したがって、雇用主はこれらの法規を順守するように、適切に労務管理を行う必要があります。

なお、厚生労働省は「外国人労働者の雇用管理の改善等に関して事業主が適切に対処するための指針」を公表しています。この指針も参考にしてください。

 

4.妥当な賃金を支払い、転職を防ぐ

日本のITエンジニアの給与水準は、欧米諸国と比較して低いと指摘されています。特に、最も給与水準が高いとされる米国との差は顕著です。現在は、アジア諸国と比較すれば、日本のITエンジニアの給与が著しく低いわけではありません。しかし、物価水準や、他業種との給与水準との差を考えると、外国人労働者にとっては魅力的とは言えません。優秀な技術者の離職を防ぐには、給与は極めて重要です。給与水準の見直しが難しい場合でも、成果主義を取り入れて、能力の高い人が妥当な賃金をもらえるような制度づくりが必要です。

(出典:経済産業省 「IT人材の最新動向と将来推計に関する調査結果」

4-1.英語でコミュニケーションを行う

日本では、まだ業務で英語を使うことに苦手意識を感じる従業員が少なくありません。そのため、外国人労働者を受け入れる際に、日本語の能力を求める企業も多いかもしれません。しかし、業務スキルが高い外国人人材を求めるのであれば、語学スキルにこだわらないことも重要です。

また、今後のことも考えると、日本語が話せる外国人労働者を採用するよりも、自社の従業員の英語スキルを磨くほうがメリットは大きいでしょう。なお、この際には業務上頻繁に使用するプロジェクト管理システムや労務管理システム等が、多言語対応していることも重要です。たとえば、クラウドログであれば、英語に対応しているため、安心して導入することができます。

また、いきなり英語スキルを向上させるのが難しい場合でも、ブリッジ人材を置くことにより、コミュニケーション上の問題が解決する場合も多いです。そのような方法も検討するとよいでしょう。

4-2.文化の違いに配慮する

異なる文化や慣習への配慮も必要です。アメリカ人や中国人は、はっきりと自分の意見を述べますし、休暇や週末に関する考えも異なります。宗教上の理由によって、祈りの時間や場所が必要であったり、ベジタリアンであったりすることもあります。これらの文化差を理解し、尊重する必要があります。

4-3.長時間労働を改善し、多様な働き方を行えるように整備する

日本式の労働の在り方も考え直す必要があります。「Karoshi」という英語の存在が示しているように、心身の健康を損なうほど働きすぎる日本人の姿勢は外国人にとっては理解しがたいものです。また、リモートワークが当たり前のように求められることもあります。自社の制度が整っているか確認するようにしましょう。

 

まとめ

深刻なIT人材の労働力不足に対応するには、外国人労働者の受け入れも大きなカギとなります。賃金や働き方の見直しなど、整備は必要ではありますが、その手間を上回るメリットは大きいでしょう。受け入れのポイントを理解し、優秀な外国人人材を確保するようにしましょう。

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