工数管理を徹底解説!目的や重要性、簡単な始め方から分析方法まで

工数管理は、プロジェクトの状態把握、業務の生産性向上、予実管理など様々な目的で行われますが、従業員は面倒だと思っていたり無駄だと思っていたりすることも多く、あいまいな入力になっている場合もあります。また、運用していても、期首の目標達成有無や、年次の売上報告で使うための数値としての活用に留まっている場合も多いため、数値を十分に活用できていないことも多いのではないでしょうか。

ここでは工数管理の目的や重要性を確認しながら、実際に工数管理を始め、分析や改善を行う場合に活用できる導入方法や工数管理のポイントを解説していきます。

工数管理とは

工数管理とは作業が終わるまでの時間と必要な人数を管理することを指します。
「ある作業が完了するまでの時間」と「作業に必要な人数」を人日や人月という単位で管理します。
人日とは「人数×日数」の作業量を表す単位の1つで、スタッフ1人が1日働いた作業量を1として表します。
これらはある業務を完了させるまでに必要な工数を測ったり、見積もったりする際に使用され、「1つの作業にかかる時間」×「作業に必要な人数」や、「プロジェクト完了までにかかる作業量」÷「必要なスタッフの人数」などの計算を行い、必要な算出をします。

仕事をこなすうえではコストや売上の管理が必要となり、工数を管理することでプロジェクトの進行方針の指標の1つとすることもできます。
また作業内容ごとに業務を可視化できるため、管理しやすく改善点の明確化も容易です。

工数管理の目的

工数管理を実施する目的とは何でしょうか。代表的な目的を確認していきましょう。

プロジェクトの見積

プロジェクトを開始する際、そのプロジェクトにどの程度の工数が必要なのかを算出することで、何人必要で、人員を確保できた場合にどのくらいの期間が必要かを見積もることができます。
この見積工数を基にプロジェクトを進めていきます。

プロジェクトの予算管理

工数を算出することで、必要なリソースや期間がわかるためプロジェクト全体の予算を算出することができます。また、プロジェクト開始後は工数管理を行っていくことで予算の消化状況を把握することができます。

プロジェクトの進行管理

見積もった工数に対し、現状の工数消化状況を照らし合わせることによりプロジェクトがどの程度進んでいるのかを知る目安にすることができます。

工数管理の重要性

事業やプロジェクトを進める上で、売上や利益の管理は欠かすことができない要素です。

各事業やプロジェクト単位での工数管理は、会社全体の売上や利益を管理していくためのベースの数字となります。

事業やプロジェクトの工数管理を行うことで、時間の管理だけではなく、現れた数字から改善すべき点を発見したり、問題点を発見したりすることができます。
また、工数管理の数字は会社全体の状況を把握しやすい管理項目とも言えます。

工数管理はIT業界で多く使われてきた手法ですが昨今はさまざまな業種で使用されています。業種ごとの工数の概念についてはこちらで詳しく説明していますので合わせてご覧ください。

工数管理を行う5つのメリット

工数管理には下記のようなメリットがあると言われています。

メリット1:プロジェクトの進捗把握

プロジェクトには大小様々ありますが、大きくなればなるほど進捗を計ることは難しくなります。最初に見積もった工数と、現状の工数状況を比較することでプロジェクトの進捗を大まかに知ることができます。

メリット2:リスク回避

工数から見た進捗状況と、実際の開発状況を照らし合わせることで現状とのギャップを知ることができます。
ギャップが大きい場合は、なぜそのギャップが発生したのか、ギャップを埋めるために何が必要かを早めに察知し、問題が大きくなる前に対策や対処を行い、リスクを最小限に抑えるアクションを取ることができます。

メリット3:業務改善

工数から見た進捗と実際の開発状況にギャップがある場合に考えられる要因のひとつに「見積の甘さ」があります。
発生原因を究明し問題を認識することで次回以降、より精度の高い見積の作成を行えたり、生産効率を上げるため業務フローの改善を行ったりすることができます。

工数管理を行っていなければ見えてこない問題を発見することで業務改善のきっかけを作ることができます。

参考:【無料資料】工数管理を軸にした生産性向上・業務改善の5つのステップ

メリット4:ナレッジの蓄積

予実のギャップをトリガーに実施する分析や問題把握、アクションをナレッジとして蓄積していくことができます。
例えば見積と大きなギャップが発生している場合、新技術の採用などで実際より大きく工数が膨らんだのか、見積が甘かったのか、予期しない従業員の退社やメンバー変更があったのかなど原因を明らかにします。

そうすることで次回以降、新技術を採用する場合は余裕を持った工数を確保する、人員の増減を未然に防ぐアクションを取るなどプロジェクトを進める際に考慮すべきナレッジを蓄積していくことができます。

メリット5:従業員のコスト意識教育

工数管理を行うには、工数の予実をプロジェクトメンバーに入力してもらう必用があります。
メンバーは実績を入力するだけではなく見積工数も認識することで、より少ない工数で完了させる努力をするなど生産性やコストに対する意識を持ちやすくなります。

これら5つのメリットは、工数管理を行うことですぐ目に見えるものと長期的に見て効果があるというものがありますが、最終的には全て利益に繋がっていくものです。

しかし、工数管理には、デメリットとされるものもあります。
例えば、一般的にデメリットとされるものに工数管理ツール導入の学習コスト、ルールづくり、意識共有や定着させることへのハードルなどがあります。

しかしこれらは工夫やお金で解決できるものばかりで、工数管理を導入した際に享受できるメリットに比べれば小さな問題と言えるでしょう。

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エクセル・スプレッドシートを使った工数管理

工数を管理できるツールにはさまざまな種類がありますが、エクセルやスプレッドシートで工数管理を行うこともできます。
エクセルやスプレッドシートならシート上で用途に合わせて形式を変えることも可能です。

メリット

工数管理にエクセルやスプレッドシートを利用すれば、導入コストがかかりません。
スプレッドシートのようにクラウドに保存される場合には、ネット環境が整っていれば共同編集も可能で簡単に共有できます。

インターネット上にはさまざまなテンプレートがあるため、自分に合ったものを選んで利用できるのもメリットです。

また、エクセルやスプレッドシートは使い慣れていることが多いため、負荷をかけることなくスムーズに導入することができるでしょう。

デメリット

ファイルがクラウドに保存されていれば、ネット環境下でいつでもどこでも編集できますが、スマートフォンからは入力しにくいため、ミスにつながる可能性があります。

入力規則や条件付き書式、またはVLOOKUP関数などを用いて、数字や文字の間違いや表記揺れへの対策も必要です。

複数で共有した場合には誰がいつ編集したのか把握しづらく、統一されたフォーマットや運用ルールを周知徹底するなど新たな作業が発生します。
また関数や機能を使えば業務効率化が図れますが、関数を使いこなせるかという問題や作業効率化するために関数を入れすぎるとファイルが重くなるという問題も考えられます。

ファイルの作成者によって使いやすさや質が異なるため、操作が得意な方に作業が集中してしまう可能性もあるでしょう。

ツールを使った工数管理

エクセルやスプレッドシート以外にも、さまざまな工数を管理できるツールがあります。
ここでは工数管理ツールを使用するメリットやデメリットについて解説します。

メリット

工数管理ツールの中にはアプリやレスポンシブ対応されているものもあり、入力が簡単なことが多いです。

また今取り組んでいる工数だけではなく、プロジェクト全体の管理も可能なものも多く、より管理しやすくなっています。

ツールによっては工数分析の機能もあり、業務改善や事業計画を立てる際にも活用可能です。
今まで手動入力していた部分を自動入力にできたり、前日の工程内容を翌日に反映できたりするなど業務効率化により生産性向上も期待できます。

デメリット

工数管理ツールは、エクセルやスプレッドシートを使用した場合に比べて利用しやすい特徴がありますが、ツールによっては導入コストがかかります。

試験的に導入してみる準備期間や、ツールを使いこなすためのマニュアル作りなどの準備工数も整えなければいけません。

また、一旦導入してしまうと他のツールには乗り換えにくいため、ツールを導入する際には十分な検討が必要です。

おすすめツール紹介

ここでは、工程管理ツールを3つ紹介していきます。
それぞれの特徴やメリットとデメリットについても詳しく紹介していくため、工程管理ツールの導入を検討する際には参考にしてみてください。

BeingProject-CCPM / 株式会社ビーイング

BeingProject-CCPMは、建設業界向けの工程管理システムです。

人為ミスや悪天候など予想外の事態が起こることを想定し、工期を見直すかもしれないことを前提としているため、タスクを短縮して余白を確保する「CCPM」というマネジメント手法を取り入れています。

目的達成のために欠かせない必要条件を図によって可視化する「パックワードスケジューリング」や、工程の不確実性を踏まえてタスクを短縮する「バッファマネンジメント」という機能が備わっています。

また、作業の残り日数を表示することで進捗を把握しやすくしています。

複数の現場も一元管理でき、ネットワーク図から工程表を自動で作成することも可能です。

しかし、原価管理や要員管理ができず、積算データとの連携には土木工事積算システム「GaiaRX Ultimate」が必要といったデメリットもあります。

Koutei STARTER / 株式会社ハーティスシステムアンドコンサルティング

Koutei STARTERは、幅広い業務に応えてくれる工程管理システムです。
インターフェースはエクセルがベースとなっているため、初めて使う方にも操作しやすいよう配慮されています。

工程順チェック機能が備え付けられているため工程の抜けを防ぎ、Web Client機能による可視化も実現しています。
作業実績をデータ化することで日報作りの業務効率化を図り、リードタイム短縮や作業手順の合理化も可能です。

バーコードとハンディを活用した「ハンディターミナル」の利用には、費用について別途お問い合わせが必要です。

クラウドログ / 株式会社クラウドワークス

クラウドログは、直感的な操作が可能なクラウド型のプロジェクト管理ツールです。

ドラッグ&ドロップといった簡単な操作で工程を管理でき、Googleカレンダーとも連携できます。
工数管理に特化しており、作業別や工程別だけでなく、企業別や商品別など自由に工数を登録することも可能です。

出力できるレポートも豊富で、売上・工数原価・損益など各種レポートが即時に取得できるのもメリットの1つです。
デメリットには、テンプレートの作成やタスクへのコメントができない点が挙げられます。

工数管理ツールを導入する際の4つのポイント

実際に工数管理を始める場合には、可能な限り正しく工数を入れて貰いたいものです。ここでは工数を入力する際に注意すべきポイントや工夫すべきポイントを解説していきます。

ポイント1.ルールの周知

フォーマットがある場合でも、状況によって数字をどのように入力すべきか、どの項目につけるべきかなど、入力者が迷うシーンが発生します。
工数を付ける場所が間違っていると分析の精度が下がるため、記録する時間単位やどのような作業をどの項目に付けるかなどのルールは周知しておく必要があるでしょう。

ポイント2.入力項目の精査

開発の各フェーズやWBSの項目に工数を付ける場合、漏れやすい項目に「調査」や「検討」「見積」などの項目があります。

プロジェクトを進めるに際し、細々とした調査や検討は思ったより多く行っているものです。
分析したい内容にもよりますが、どのような分析を行うと業務改善や生産性の向上に繋がるかを検討した上で工数の入力項目を分けておくと、入力されたデータをより有効に利用することができます。

ポイント3.入力を溜めず毎日入力する

工数管理の導入直後に発生しやすい事象として、入力を忘れたり、1週間溜めて入力したりということがあります。

工数は溜めて入力するほど数値がアバウトになりがちなため、管理者を設けるなどで入力状況を把握し、毎日入力させることがポイントです。

ポイント4.カレンダーの活用などで効率化する

工数管理のために「工数を入力させる」という作業自体をなくし、チームメンバーに負荷をかけないという方法もあります。

ツールによってはGoogleカレンダーなどのカレンダーと連携できるものがあります。
その場合、チームメンバーがカレンダーでスケジュール管理を行えば自動的に工数管理されていくため、入力の手間を減らせ、効率的に運用していくことができます。

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リモートワークで発生しがちな工数管理のアンチパターン

出勤して顔を合わせている状況では比較的雑談もしやすく、メンバーの状況を把握しやすい状態にありますが、リモートワークでは状況が見えないため新たなルールを作るケースも少なくありません。

しかし、導入するルールによっては生産性を落としてしまうこともあります。ここでは、工数管理で避けるべきアンチパターンについて解説します。

細かすぎる工数管理

リモートワークにより、何をしているのかが見えにくくなったことで管理者側が不安になることも少なくありません。
その不安を解消するため、細かい単位での工数入力を要求するという対処を行う場合があります。
しかし、これは一見小さなことに見える作業ですが、チームメンバーの負荷を高め、さらにモチベーションも下げてしまうため、避けたほうが良い対処法と言えるでしょう。

見えない作業や名もなき仕事を増やしていないか

作業状態やチームメンバーのスケジュールを把握するため、工数に付けにくい見えない作業や名もなき仕事、例えば過剰な報告作業や定時ミーティング、チャットでの随時報告などの作業を増やしていないでしょうか。

これらはプロジェクトの工数につけにくく、また前述の「細かすぎる工数管理」と同様にチームメンバーの負荷を高め、モチベーションも下げてしまう可能性があります。

工数管理データを分析する際のポイント

工数管理は数字を入力するだけでは意味がなく、分析まで行ってはじめてレベルの高い活用ができると言えます。
ここでは、工数管理データを分析する上で最低限押さえておきたいポイントをご紹介していきます。

最低でも月次単位で分析を行う

プロジェクトが終わってから分析しようという考えは捨てた方が良いでしょう。
たいていの場合、プロジェクトが終わるとチームは解散し、すぐ次の仕事が始まります。

せっかくの数値を活かすには最低でも月次で集計を行い、状況を確認することで課題やリスクを発見し、すぐにプロジェクトにフィードバックを行ない、改善を進めます。

また、月次で分析しておけば、明らかに入力していない従業員がいる場合もここで拾うことができます。こまめに分析を行うことで工数管理を最大限に活かすことができるでしょう。

分析結果を共有する

管理者が分析して終わりにしてしまうと、メリットで紹介した「従業員のコスト意識教育」の効果が得られにくくなるため、工数管理を活用しきれていない状態になります。

分析結果、状況を共有することで、工数の重要性や個々のデータの大切さ、コスト意識などを浸透させることができます。

まとめ

工数管理は事業やプロジェクトの利益把握や進捗把握ができる他に、様々なメリットがあります。「管理」という業務は、作業に対しすぐ効果が出ないものもありますが、長期的な視点で地道にデータを蓄積・分析していくことで生産性の向上や業務改善などが期待できます。

クラウドログでは、出退勤の管理や工数管理はもちろん、プロジェクト管理ツールとしてガントチャート作成や損益計算も行え、プロジェクトごとの利益も見える化することができます。工数の分析も簡単に行えるため、工数管理・プロジェクト管理の両面でお役に立てるツールです。是非、詳しい機能や導入事例などをご覧のうえご検討ください。

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