稼働率とは?計算方法や改善の考え方を解説

稼働率というと、一般的には生産部門や工場、設備などの稼働状況を表す指標として使われますが、ITの開発現場でも使われます。稼働率を算出し、意識することで「ムリ・ムダ・ムラ」が発見できると言われています。
ここでは、稼働率とは何か、計算方法や稼働率を上げるうえでの注意点、適正な稼働率を定めるポイントをわかりやすく解説していきます。

稼働率とは?

稼働率とは、主に生産現場で使われることの多い指標で「本来生産できる能力に対して実際に生産できた割合」を言います。
IT業界でも使われ、稼働率を算出することで業務量が適正かどうか、業務を効率的に行えているかなどを確認できます。

稼働率の計算方法

わかりやすくするため、工場における稼働率の考え方を例に解説しましょう。
工場が1日に生産できる製品が100個で、実際に生産した製品が80個だった場合、工場の稼働率は80%となります。

  • 計算式
    稼働率=実際に生産した量÷本来生産可能な量×100

ITソフトウェア開発における稼働率

考え方は同じです。稼働可能な工数に対し、結果として実際に稼働した工数をパーセンテージで表したものが稼働率になります。
例えば、あるプロジェクトに1人が1日に稼働できる工数が8時間で、実際プロジェクトにかけた時間が6時間の時、稼働率は75%となります。

  • 計算式
    稼働率=実稼働時間÷生産能力として本来稼働すべき時間×100

可動率とは

稼働率と可動率は同じ読み方ができるため混同されることもありますが、「可動率」は「べきどうりつ」と読み、意味は異なり、主に生産現場で使われる指標です。
こちらも工場における可動率を例に解説します。

顧客からの発注に応えるためには、今日100個生産しなければいけない時、実際生産できた製品が90個の場合、可動率は90%となります。可動率は「必須生産量」に対する指標であるため100%を目指すべきものと言えます。

  • 計算式
    可動率=実際に生産した量÷必須生産量×100

ツールの導入で稼働率を効率的に算出する

稼働率を計算するには、工数管理を行い、稼働時間のデータがあることが前提になります。工数管理をエクセルで行っている企業も多くあるでしょう。しかし、エクセルでは工数管理自体に時間がかかってしまいます。
稼働率をより効率的に計算したい場合には、クラウドログのような工数管理ツールを導入することをおすすめします。工数管理ツールやプロジェクト管理ツールは、予実工数の管理が簡単に行なえ、従業員が入力する際も時間をかけずに記録ができます。

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算出した稼働率をどのように捉えるべきか。数値によって考えるべきこと

計算した稼働率の数値はどのように捉えるべきでしょうか。稼働率が低いとき、高いとき、考えるべきことを確認していきます。

稼働率が低いとき

稼働率が低いということは、本来稼働すべき時間まで稼働ができておらず生産が低い状態といえます。
仕事がそれほど多くなく暇な状態や、忙しくしていても稼働率が低いという状態があります。仕事が少ない状態の場合は、稼働が余っている状態ですから、稼働率を上げるために営業に力を入れるなどで仕事を増やし稼働率を上げる対策を取ることができます。
一方、忙しくしているにも関わらず稼働率が低い状態は、原因の分析が必要となります。例えば稼働率が60%の場合、残りの40%何をしているかを分析します。本来案件に費やさなければいけない時間を、会社の事務処理や打合せなどに割きすぎていないかなどを確認します。

稼働率が高いとき

一見稼働率が高いと、生産性が高く良いことのように見えますがそうではありません。
特に、100%以上の数値になっている場合は要注意です。稼働率は、生産可能な能力から割り出される数値のため、100%を超えている場合、通常以上の負荷がかかっている状態を示しています。
繁忙期などで一時的に上がることもありますが、定常的に稼働率が高い状態が続いている場合は、従業員が退職してしまうなどのリスクが高くなるため、早急に改善する必要があります。

稼働率は100%を目指してはいけない。その理由とは?

前項の「稼働率が高いとき」の通り、稼働率は高ければ良いというものではありません。
稼働率は100%を目指してはいけないと言われています。
稼働率が100%に近い、又は超えている場合は、その人がボトルネックになり、その前後の工程に待ちが発生することになるため、全体的に見ると非効率な状態に陥ります。
これは「平均待ち時間」や「混み具合」などの現象を、数理モデルを用いて解析して適正な稼働を算出する「待ち行列理論」(※1)の考え方です。
待ち行列理論とは、コンビニのレジや空港の受付カウンターなどで混雑させずに適切なサービスを受けさせるために適正な稼働率を算出する方法で、例えばトヨタ生産方式はこの待ち行列理論を取り入れたものです。トヨタは目標とする稼働率を100%には定義しておらず、95%を適正としています。
これはトム・デマルコの「ゆとりの法則」(※2)にも通じるところがあります。ソフトウェア開発の書籍のため、より理解がしやすいでしょう。

※1参考:待ち行列理論
※2 参考:ゆとりの法則

適正な稼働率とは?生産性とのバランスを取る

適正な稼働率は、企業や部署、役割によっても異なるものです。では、適正な稼働率をどのように定めればよいのでしょうか。まずは現状の稼働率を算出し、稼働率が適正かどうかを見定めます。その際には、生産性も合わせて考える必要があります。
例えば下記のような事例が参考になるでしょう。

IT業界の働き方・休み方の推進「■東京海上日動システムズ株式会社の取組」

この事例では、生産性を高めることを目的としていますが、生産性を測る基準として稼働率と1日あたりのタスク消化率の関係を計測しています。
18:00退社という時間の制約を設けた上で、稼働率とタスクの消化率を記録しながらムダの削減や業務改善を行い続け、値の推移を見ることにより生産性がどこで高くなったかを見える化しています。

稼働率と生産性を合わせて考えることで、最適なパフォーマンスがどこなのかを各々のチームや部署に合わせて見定めやすくなります。

この事例のように、プロジェクト管理ツールを用いることで、日々の業務の中で無理なくタスクの見える化、予実の管理、スケジュール管理を行うことができ、効率的に稼働率と生産性を算出するデータを蓄積できます。

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まとめ

ここまで、稼働率について、計算方法や稼働率の考え方について解説してきました。
マネジメント側から見て、利益に直結する稼働率の数値は上げたいと考えてしまいますが、100%を目指してはいけないことや生産性とのバランスが重要であることを理解頂けたでしょう。
稼働率や生産性は継続的に見ていく必要があり、そのためにはクラウドログのような工数管理ツールを利用し、日常業務の中で効率的にデータを蓄積することが重要です。クラウドログには無料のトライアル期間があるため、自社の業務に合うかどうか是非一度お試しください。

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