業務効率化に繋がる「見える化」とは?効果を得るためのポイントを徹底解説

元々は製造現場で問題の発生を目で見てすぐにわかるように、という観点から開発されたのが「見える化」です。昨今では、その他の業種でも広く取り入れられるようになりました。

しかし、「見える化」に取り組みたいが基本や成功のポイントが分からないという方も多くいるのではないでしょうか。そこでこの記事では、見える化の基礎知識や成功に導くポイントについて解説します。

 

 

1.今、なぜ見える化が求められるのか?

この章では、今なぜ見える化が求められているのか解説します。

1-1.業務のムダ削減による長時間労働の是正

長時間労働による過労死やうつ病罹患者の増加により、働き方を問われる時代になってきています。少子化による人手不足もあり、業務量が今までと同じでは、1人当たりの業務負荷が増加することは目に見えています。長時間労働で大切な人材が心身の健康を害して離職したり、休職したりすることを防ぐことは企業にとって重要課題となっています。そして、そのためには業務のムダを発見し、取り除くための見える化が必要です。

1-2.人件費の削減

社員1人1人の業務負荷が減れば、残業時間が短くなり、残業手当の削減になります。また、見える化により、一部の業務をシステムや機械に任せることができるようになれば、その分の人件費を丸ごと削減したり、他の業務に回したりすることができます。

1-3.休暇・休職時の引き継ぎの円滑化

働き方改革関連法の成立により、企業は有給休暇を付与するだけではなく、一定日数以上を取得させることも義務化されることになりました。

また、少子高齢化による人手不足を解消すべく、政府や多くの企業が女性や介護を行う社員や病気療養中の社員にも、育児・介護・療養を行いながら勤め続けられる環境を提供するようになっています。

これらにより、職場を短期もしくは長期離れる社員の増加が想定されます。

日本企業はチームワークが得意ですが、個人に紐づいている仕事も少なくありません。メンバーが休みを取る際に、他のメンバーや代わりのメンバーで仕事をカバーすることを円滑に進めるためにも業務を「見える化」しておくことは大切です

1-4.迅速な効果測定と次アクションの制定によるスピード化

「MADE IN JAPAN」の製品は世界中から、その品質が信頼されている一種のブランドです。細部にまで手を抜かない丁寧なものづくりが、その品質を維持しています。

一方で、アメリカのシリコンバレーのような世界のIT企業は圧倒的なスピードでサービスを展開し、利益をあげています。彼らは実行する前の検証に時間を割くのではなく、まずはサービスを出すことに重きを置き、サービス展開後に不具合を修正する方法で、品質を向上させます。

世界企業との競争をくぐり抜けるには、丁寧さだけではなくスピードも重要となります。何かアクションを起こした際に、その効果測定を迅速に行い、次アクションに繋げるPDCAサイクルを早く、多くまわすことが求められます。

 

2.主な業務における見える化の効果

上記のような背景から見える化が求められています。では、実際にはどのような業務を見える化すると効果が得られるのでしょうか?具体的にいくつか取り上げてみます。

2-1.業務全般

片づけを成功に導くにはうまく収納させるのではなく、まずは不要なものを減らすことから始めるのが大切と言われています。業務の効率化も全く同じです。そのためには、従来の慣習にとらわれない思い切った決断が必要です。

働き方改革に成功した伊藤忠商事の岡藤社長(当時。現会長)は就任後早々に会議に目をつけて見える化し、その削減を行いました。彼は会議の回数、時間、資料の厚みまで徹底的に数値化、見える化しました。

その結果、年間の重要会議は828回、総会議時間は1448時間、会議資料の厚みは162.2センチと判明したそうです。これを1年で、開催回数を21%、会議時間を22%、資料の厚みを13%、削減することに成功しました。その後も削減をし続け、2015年度では、開催回数は41%、会議時間は50%、資料の厚みは48%も削減したと発表しています。

社員の1週間の業務時間に占める割合が高いのはどの業務でしょうか?見える化してみると、意外なものが総時間として多くなっているかもしれません。そのうち、本当に必要なのは何時間なのでしょうか。

2-2.営業活動

営業活動は各セールスマン個人に委ねられているケースがあります。しかし、個々の営業活動を記録し、チーム全体のデータとして見える化すると、成功パターンが見えて来ることがあります。成功パターンを早期に発見し、横展開することができれば、その後の営業活動の効率を高く向上させることができます。営業活動を見える化する仕組みとして、SFA(セールスフォース オートメーション)があります。

2-3.マーケティング

広告や展示会、WEBページやダイレクトメールなどマーケティング活動の範囲は多岐にわたります。各施策をシステム化することで、効果測定を簡便化することができます。早急に成功した施策、失敗した施策を見極めることにより、費用や資源を集中させることができます。近年のCRMやマーケティングオートメーションといったIT製品はレポート機能が豊富で、様々な角度から見える化を支援しています。

2-4.設計開発

システム開発には不測の事態の発生はつきものですが、各担当者の業務・進捗を把握しておかないと、手戻りが多くなってしまいます。また、ある担当者の作業の遅れが他の担当者の作業に影響を及ぼし、数珠つなぎのように影響が大きくなることもあります。場合によっては、作業を分解して他のメンバーにまわしたり、外注に出したりすることも必要です。担当業務、スケジュールを徹底的に管理することで、進捗の遅れが発生した時にすぐに発見し、ロスを最小限におさえることができます。設計開発工程を見える化する仕組みとして、プロジェクト管理ツールがあります。

 

3.成功のポイント

このように、見える化で得られる効果は多大ですが、せっかく行なっても失敗に終わってしまうケースもあります。成功するにはどのようなことが必要なのでしょうか?ここでは成功のポイントを解説します。

3-1.目的の明確化

見える化を成功させるためには、徹底的な情報収集と分析が必要となります。そして、そのためには各担当者の協力が不可欠です。改革推進の担当者に気合が入っていても、忙しい各担当者にとっては、それを行なうメリットが見えないとただの負荷です。やらされ仕事になってしまうと、適当に処理してしまい、情報が不十分になってしまい効果が出ません。

そこで、なぜこのような活動が必要なのか、それによりどのようなメリットが各担当者に起こるのかをしっかりと説明をして動機づけることが大切です

3-2.入力の簡素化と習慣化

業務の見える化には情報の入力やシステム化が必要となります。しかし、これまでの習慣を変更するのには大きな労力がかかります。最初はやる気があって取り組んでいても、面倒だと思ってしまうと、途中で入力しなくなってしまいます。

エクセル等に入力させるよりは、システムを利用した方が入力も管理も簡単になります。また、入力項目を減らす、プルダウン形式にするなどシステム化しても可能な限り簡素化することが大切です。毎朝入力する時間を取らせるなどの習慣化も必要です。

3-3.効果の測定と共有

最初の見える化活動は早期に実行して、その効果を測定し、担当者に共有することが大切です。早急に効果を測定するために、レポート機能付きのシステムを選ぶと便利です。なお、最初は、大掛かりなものではなく、会議を減らすなどの簡易なものから始めることも良いかもしれません。

人間は効果を体感すると、どんどんと主体的に取り組むようになります。逆に、せっかく労力をかけたのに、結果どうなったかわからないということになると、協力をしてくれなくなります。

 

4.まとめ

業務を効率化し、スピードアップを図るには見える化を行うことが大切です。見える化を始めるには労力がかかりますが、システムを利用すれば、管理もその効果の把握も簡単に行うことができます。まずは、小さいところからでも始めてみましょう。

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