BPRとは?BPRの進め方とポイントを解説

今、多くの日本企業が働き方改革への対応や、業務の生産性向上などを推進しています。その中で推進役となる経営者やマネージャーには、現行の業務フローに限界を感じ、抜本的な変化をもたらすためにBPRの必要性を感じる方も多いようです。

しかし、いざBPRに取り組んでみようとする場合、どのように考え、導入していくのが良いのでしょうか。この記事ではBPRの基本的な内容や成功のためのポイントについて紹介します。

1.BPRとは

まず、BPRの基本的な概念について解説します。

1-1.BPRとは

BPRは「ビジネス・プロセス・リエンジニアリング」の略で、日本語では「業務改革」という言葉で表されます。

BPRは1993年にアメリカで出版された『リエンジニアリング革命』(マイケル ハマー, ジェイムズ チャンピー)という書籍の中で使われた言葉です。同書では、BPRは、「コスト、品質、サービス、スピードのような、重大で現代的なパフォーマンス基準を劇的に改善するために、ビジネスプロセスを根本的に考え直し、抜本的にそれをデザインし直すこと」と定義されています。

BPRでは「根本的」「抜本的」「劇的」「プロセス」がキーワードとなっており、それぞれのキーワードは次のように詳細な定義を持ちます。

根本的

いったいなぜ現在それを行っているのか、そしてなぜそれを今の方法で行っているのか、といった根本的な質問をすること。

抜本的

表面的な変革を行ったり、既存のものに手を加えたりすることではなく、古いものを捨ててしまうこと。

劇的

業績において小さな改善や漸進的な改善を行うことではなく、大飛躍を達成すること。

プロセス

顧客に対して価値のあるアウトプットを生み出す行動の集合。

この書籍が書かれた当時、主流だった業務の細分化や分業がかえって非効率をもたらしており、BPRによるビジネスプロセスの単純化が大きな生産性の向上をもたらすと考えられました。そして、そのビジネスプロセスの再構築の中でITが重要な役割を果たすと紹介されています。

 

1-2.BPRと業務改善との違い

「BPR(業務改革)」と似た言葉で、「業務改善」という言葉もあります。両者とも、より良い業務の仕方を模索するものですが、この両者の違いを簡潔に述べるなら、業務改善が現在のビジネスプロセスを肯定(維持)しながら行うものであるのに対し、BPR(業務改革)は現状を否定しつつ、ゼロベースで行うものであることです。

例を挙げると、メーカーが配送を効率化するために各社の位置情報をGPSで管理し、効率的な配送指示を出すのは業務改善です。そもそも自社での配送の必要性から問い直し、配送はアウトソーシングとして、ITによるリアルタイムの発注・配送確認ができる仕組みを作ることなどがBPRに該当します。

このようにBPRでは大きな変化を伴うため、業務改善と比較して反対する人も多く、目的や考え方、手法の浸透に時間がかかるのも特徴です。

 

1-3.BPRとDX(デジタルトランスフォーメーション)

また、近年注目されているDXとBPRの違いについても整理しておきましょう。BPRでは、ビジネスプロセスには着目しますが、基本的にビジネスモデルはそのままです。こうした中で変化を起こすためにITを活用します。たとえば、営業チームの管理職に対し、社内SNSやWeb会議システムを導入し、社外からでもリアルタイム性の高いマネジメントを可能にするのはBPRです。

一方DXは、IT技術を活用することによりビジネスモデルそのものを変えるところに主眼があります。同じように遠隔マネジメント用のツールを導入するとしても、その目的は本社勤務の従業員を大幅に減らしリモートワーカーを増やす、といった社内体制やビジネスの方法の大きな変化を含みます。

 

2.BPRの進め方

ここでは、BPRの進め方を紹介します。

2-1.業務フロー(ビジネスプロセス)の見直し

自社の業務フローをまず見える化し、そのひとつひとつのプロセスについて検討しながら必要なものとそうでないものを分けていきます。たとえば、製品の検品に部長以上の決裁が必要なために非効率な場合、検品の決裁権を下の役職者に移し、一定金額以上からは部長以上の決裁を必要とするなど決裁フローやシステムの見直しを行います。

 

2-2.業務の外部委託

BPRでは自社で行うことに必要性がない業務については外部委託も検討します。たとえば、自社で経理の人員を抱えるよりも外部に委託するようなケースや、グループ全体の経理業務を本社で一括対応するようにして効率化をはかるような場合です。会計システムの発達により、一人で多くの仕事を行うことが可能であるため、実際の事例も多いです。

 

2-3.ITなど設備の導入

経営や事業活動に必要な情報をリアルタイムに入手し活用できるように、ERPやCRMなどのシステムを導入する例も多いです。クラウド型のシステムが多くなっており、小さい企業でも利用が可能です。場所や時間を問わず利用できることから、直行直帰やリモートワークを増やす例も見られます。

 

3.BPRを行う際のポイント

BPRの取り組みを成功させるためのポイントについて解説します。

3-1.目的・目標とする成果を定量的に定める

BPRでは、求める成果をしっかり定めることがポイントで、成果は定量的に評価できるものにすることが大切です。たとえば、労働時間の削減が目的なら、「全体の労働時間を5%削減する」など具体的な数量を定めます。数字データの取得が負担にならないよう、ITを上手に利用するとよいでしょう。

 

3-2.業務フローの見える化

業務フローを見える化し、関係者全体が問題に対し共通した認識を持てるようにすることも大切なポイントです。「プロジェクトの遅れがある」と漠然と認識するだけでなく、「どの部分で何日遅れている」といった状況がすぐにわかれば、BPRで特に意識するべき対象を絞り込むことができます。業務のリアルタイムな見える化を助けてくれるシステムも多くあるため、上手に活用しましょう。

 

3-3.ゼロベースで考える

業務改善でなくBPRにまで展開するためには、ゼロベースで「どうしてこの業務が必要なのか」を問い、よりよい方法を選ぶことが大切です。ITは進歩が速いため、数年前にはベストだった方法でビジネスを行っていたとしても、ゼロベースで考えてみると、もっと良い方法が登場している場合があります。

 

3-4.トップ・役員が中心になって推進する

BPRはひとつの部門に限らず、全社的な取り組みになることが多いため、その推進には大きな力が必要です。規模が大きくなるほど調整も大変になり、時には投資も必要となるため、権限の強いトップや役員が中心になって推進してこそ、現場の混乱も少なく負担も小さくなります

 

3-5.PDCAをしっかり回す

BPRは一度取り組めばそれで終わりではありません。常にPDCAを回しながら、より良い形にブラッシュアップしていくことが望まれます。そのため、PDCAのための情報収集や仕組み作りを最初から意識してBPRに取り組むことが大切です。

 

4.まとめ

BPRは現在の業務フローを再デザインしていく取り組みであり、プロセスの見える化や、さまざまなデータ収集の効率化が不可欠です。

そのためには、販売管理システムや人事システムといった基幹系システムだけでなく、グループウェアやプロジェクト管理ツールなどさまざまな領域のシステムを見直す必要もあるでしょう。まだシステムを導入していない領域の業務であれば、システムを入れるだけで大きく改善できる場合もあります。

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