テレワークの生産性向上

近年、政府による働き方改革の一環として、テレワークの取り組みが推進されています。一方で、テレワークの導入率はまだまだ少なく、一般的な働き方とは言えない状況です。

そのような中で、新型コロナウイルス感染症の影響で、多くの企業がテレワークの半強制的に実施を余儀なくされました。これにより、テレワークが一気に普及したという話もありますが、本当にそうでしょうか?テレワークを定着させるには、制度の変更や生産性向上施策など、さまざまな取り組みが必要です。ここでは、テレワークの概要や導入状況、課題、生産性向上に向けた施策などを解説します。

1. テレワークの概要と導入状況

まず、テレワークの導入状況と、テレワーク ・リモートワーク・在宅勤務の違い、新型コロナウイルス に伴うテレワークの課題を解説します。

1-1. テレワーク、リモートワーク、在宅勤務とは

テレワークとは、総務省によると、「ICT(情報通信技術)を利用し、時間や場所を有効に活用できる柔軟な働き方」と定義されています。

テレワーク では、既存の労働時間の概念のように9時から17時までと労働時間が決まっているわけではありません。例えば、仕事の途中でプライベートな用事のために業務を1時間中断し、その後、仕事を再開し夜まで働くことも可能です。また、日によっては15時で仕事を終えることもでき、いずれも8時間連続して働くわけでも、1日トータルで8時間働くわけでもありません。時間で管理されるのではなく、仕事の結果を出すという前提のもと仕事と生活のバランスを取ることができるワークスタイルです。場所も同様で、自宅、サテライトオフィス、カフェなどの幅広い環境で働くことができます。

一方リモートワークは、時間はオフィスでの仕事と同様に始業・終業時間が決まっており、勤務場所にとらわれない働き方です。リモートワークでは、ICTのモバイル機能を活用し、自宅、サテライトオフィス、カフェなど移動を考慮した効率的な仕事場所を選択できます。

また、在宅勤務はテレワークの一つの形態で、時間にとらわれずに自宅で働くスタイルを言います。

※参考:総務省「テレワークの意義・効果」

1-2. テレワークの導入状況

総務省の平成30年通信利用動向調査の結果(※)によるとテレワークを導入している企業は19.1%となっています。導入予定7.2%と合わせると26.3%となり、産業別では情報通信業、金融・保険業が高く導入率は約4割となります。企業規模別で見ると資本金が50億円以上の大企業で約5割、資本金が3000万円以下となると約1割と、企業規模で差が出てきます。

テレワークの導入目的としては、定型業務の生産性向上が最も高く、調査1年前に最も高かった通勤時間の短縮を上回るようになっています。これらから、テレワーク導入済みの企業はおおむね5社に1社程度で、業種にはある程度偏りがあり、大企業を中心に導入が進んでいると言ってよいでしょう。

※参考:総務省「平成30年通信利用動向調査の結果」

1-3. 新型コロナウイルスの感染拡大に伴うテレワークの状況

2020年4月に緊急事態宣言が政府から発令され外出の8割削減が要請されました。これにより、多くの企業が在宅勤務を実施せざるを得ない状況になりました。テレワークを導入していなかった企業は、モバイルPCやセキュアなネットワークなどのICTインフラ環境、テレワーク制度などを整備しておらず、導入に置いて多くの課題が浮き彫りになりました。

一方で、「Zoomミーティング」などの新しいコミュニケーションスタイルも社会的に認知されはじめました。既にいくつかの企業はテレワークの比率を高め、オンライン会議ツールなどでの効率化を含め新しい働き方に変えるという方向性を打ち出しています。今後はさらにテレワークの活用が増え、生産性の向上が追求されるでしょう。

2. テレワークの課題

続いて、テレワークの代表的な課題を紹介します。

2-1. 生産性が低い

テレワークの導入に伴い、オフィスより生産性が大幅に低下したという企業が多発しています。オフィスでは対面によるコミュニケーションで上手くいっていた業務が、テレワークに伴いコミュニケーションが取りづらくなったことで、業務に支障が出るようになりました。

また、テレワーク以前に日本は生産性が低いワークスタイルであるということも指摘されています。

総務省のデータ(※)によると、日本の生産性はOECD加盟国の中で21位となっており、海外主要国と比べて低い生産性であり、次に紹介する制度・企業文化が起因していると考えられます。

※参考:総務省「第1部 特集 人口減少時代のICTによる持続的成長」

2-2. 制度・企業文化

もうひとつの大きな課題として、テレワークにマッチする制度・企業文化が追いついていない、という点が挙げられます。日本では年功序列制度などの企業文化の影響で、働いた時間に対する労働時間評価が一般的です。一方で、欧米の主流であるJob型と言われる評価制度では、時間対価ではなく仕事の結果に対して評価されるため、テレワークに適した制度・企業文化ができていると言われています。したがって、テレワークを推進するには、ICTインフラだけでなく制度・企業文化まで見直す必要があるでしょう。

3. テレワークの生産性の向上に向けて

最後に、テレワークの生産性を向上するポイントを紹介します。

テレワークの生産性を根本的に高めるには、制度・企業文化の改革を行っていく必要があり、ある程度時間がかかります。したがって、制度・企業文化の改革と平行して現状のテレワークの生産性向上を図っていく必要があります。

そのためには、生産性向上を支援するシステムの活用が不可欠です。用途に応じて、以下のシステムの活用を検討すると良いでしょう。

  • 営業・・・CRM、SFA、ウェビナーシステム、インサイドセールスシステム
  • 会議・・・オンライン会議システム
  • 進捗管理、タスク管理、工数管理・・・プロジェクト管理ツール
  • 契約管理・・・電子契約システム など

新型コロナウイルス感染症の影響により、いくつかのテレワークの課題が浮き彫りになりました。一方でオンライン会議やオンライン研修会、印鑑の電子化など、今まで補助的なやり方と考えられていた方法が、今後通常の業務としてとって代わる可能が高いと考えられます。テレワークにも新しいこういったやり方が次々に取り入れられています。新型コロナウイルス感染症終息後は、テレワークが働き方の補助的な手段であった以前に戻るのではなく、働き方の主な手段として企業に定着していくと想定されます。したがって、制度・企業文化の改革およびシステムの活用を推進すると良いでしょう。

4. まとめ

この記事では、テレワークの概要や導入状況、課題、生産性向上に向けた施策などを解説しました。

テレワークを成功させるには、制度・企業文化の改革とともに本稿で紹介したシステムを導入することが大切です。昨今は、クラウド型のシステムが主流となったため、必要なシステムを、コストを抑えてスピーディに導入できるようになりました。この機会に、システムのさらなる活用を検討してみて下さい。

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