テレワークにおける進捗管理ツールの導入

新型コロナウィルスによる影響でテレワークが急速に普及してきました。一方で、チャットやWeb会議を導入し環境を整えたものの、社内のコミュニケーションが十分行えず、業務が滞ってしまうという課題も指摘されています。チームが成果を上げることに責任を持つ管理職にとっては、テレワークに合わせたタスク管理・進捗管理の方法を確立する必要に迫られています。

そこで本記事では、テレワークにおける課題を紹介した後、業務の見える化を通した進捗管理の見直し方法について解説します。

1. テレワークの課題

コロナ禍によりテレワークが普及する中で、そのメリット・デメリットが明らかになってきました。企業は、利点を活かしながら、課題を解決するような施策を考案する必要があります。

それぞれ解説します。

1-1. テレワークのメリット

従業員にとって、テレワークは通勤時間の削減など、時間を有効活用できるという利点があります。そのため、柔軟な働き方が可能になり、ワークライフバランスが向上します。また、企業の視点からも、オフィスに要する費用の削減や、多様な人材の確保というメリットがあります。また、出社しなくても仕事が進められるよう、業務のデジタル化が推進されます。

1-2. テレワークのデメリット

テレワークのデメリットとしては、コミュニケーション不足、指示伝達の困難さ等が指摘されています。また、オフィスで働いている場合よりも、進捗確認に時間を要するケースもあります。さらに、評価体制の見直しや社員の時間管理、テレワークに合わせた業務ルールの設定などが求められています。

1-3. 求められる生産性向上

イード社が2020年4月に実施した調査(※)では、テレワークで生産性が上がったと回答したのは全体のわずか2割にとどまりました。残りは、どちらとも言えない、あるいは、生産性が下がったと回答しています。

特に、コロナ禍によって初めてテレワークを導入した層で生産性の低下が報告される傾向が見られました。また、テレワークで困ること・不便なこととして、十分なやりとりができない、仕事をしていることを示しづらい、チームの進捗管理がしづらいといった課題が指摘されています。

※参考:「テレワークに関する調査」

2. 生産性を向上させるポイント

テレワークには慣れが必要であり、生産性を向上させるには、組織的な取り組みが必要です。ここでは、コロナ禍以前からテレワークを行っている企業のベストプラクティスから、テレワークで生産性を向上させるポイントを紹介します。

2-1. 情報共有、コミュニケーションの仕組み

リアルタイムでコミュニケーションがとれるチャットやWeb会議が多くの企業に導入され、テレワークにおいては必須のツールであると認識されるようになりました。また、紙のプロセスでは情報共有が難しいため、オンラインストレージを活用し、最新のファイルをチームで管理するような取り組みも必要です。

2-2. コミュニケーションの仕組み化

管理職は社員がサボっていないか不安に感じているかもしれませんが、監視するような振る舞いをすると、従業員が不信感を抱く結果に終わります。Web会議で毎日の朝礼を開催したり、昼食休憩や終業の際にチャットで状況を確認したりして、従業員の負担にならないよう、コミュニケーションを促進する仕組みを導入すると良いでしょう。

2-3. 進捗管理

テレワークによって、その働きぶりが見えづらい中で、仕事の成果を評価するには、その成果物に焦点を当てる必要があります。そのため、タスク管理ツールでチームの各メンバーが実施している作業を可視化する、ガントチャートでいつ誰が何を担当するのか計画する、といった手法が有効です。上記の朝礼での状況確認を含め、タスクごとの優先順位を見直し、進捗を妨げる問題の特定・解決を進めます。

3. タスク管理の流れ

タスク管理やガントチャートを使った進捗管理は、ソフトウェア開発の現場では一般的です。一方で、その他の部署ではテレワークになって初めてタスク管理を本格的に導入するという場合が多いかもしれません。タスク管理は、多くの部署で適用可能であり、以下のような手順で実施されます。

ステップ1:作業の洗い出し

計画外の作業が発生しないよう、最終成果物を提出するまでに必要な作業を全て網羅します。プロジェクトでは、あらかじめ、期限までに達成するべきスコープ(作業範囲)が定義されるべきです。また、プロジェクト型ではなく、定型的な作業の進捗管理を行う場合でも同様に、作業の洗い出しを行います。

ステップ2:ガントチャートによる計画

WBS(ワーク・ブレイクダウン・ストラクチャー)と呼ばれる樹木構造にタスクを分類します。ある作業を完遂するまでに必要なタスクが網羅されていることを確認するのが目的です。WBSで明らかになったタスクを担当者レベルまで具体化したものがガントチャートになります。

ステップ3:タスクの割り当て

誰が何の作業をするのか、そして、完了基準は何かを明確にします。各タスクに要する工数の見積もりを行い、作業開始日・終了日の計画を立て、ガントチャートに反映させます。

ステップ4:タスクの分析

タスクには依存関係があるため、ある作業を完了させないと開始できないタスクがあります。依存関係によって作業が止まらないよう、ガントチャートの計画を調整します。

ステップ5:進捗管理

プロジェクトが開始すると、想定通りには進まず、作業の遅れが発生したり、追加の作業が必要になったりするものです。その都度、ガントチャートに記載された計画を見直し、全体の整合性が維持できるよう最新化します。

4. タスク管理・進捗管理の効果

タスク管理・進捗管理を継続的に行うと、そのチームのパフォーマンスについて、傾向が明らかになります。チームの生産性を低下させる要因を分析できることがタスク管理・進捗管理の効果です。ここでは、その効果を具体的に解説します。

4-1. 生産性向上への寄与

タスクごとに費やした工数を分析すれば、本業に対して会議やメールなどの管理業務が多過ぎないかなどを視覚化できます。可視化しながら顧客への価値提供に寄与しないような管理業務を省力化していくと、一人当たりの生産性向上が期待できます。

作業の標準化が進んでいないと、特定の個人に作業が集中し、ボトルネックになってしまいます。繁忙が極端にならないよう作業を平準化したり、担当者間で負荷を分散化したりして、チーム全体の生産性を向上させます。

4-2. プロジェクト遅延の分析・原因の可視化

計画に比べて遅延が多数発生する場合、見積もりが甘い、不測の事態への備えがないといった原因が考えられます。品質が低く作業のやり直しが必要になったり、複数のメンバーが同じ作業を重複していたりするケースもあるでしょう。個人の能力に原因を求めるのではなく、チームとして成果が上げられるよう仕組みを整えると良いでしょう。計画の精度向上や進捗管理の厳格化によって、プロジェクト遂行上の課題を早めに解決し、生産性向上につなげていきます。

5. ツールを使った進捗管理

ここでは、ツールを使った進捗管理方法を紹介します。

ソフトウェア開発の現場では長らく、ガントチャートによる進捗管理にエクセルを使うケースが見受けられました。しかし、多人数・多拠点でのファイル共有が困難であり、テレワークには不向きなフォーマットです。さらに、どのファイルが最新であるかが分からなくなりがちでバージョン管理が煩雑、計算式やマクロが作成者しか編集できなくなり属人化しがち、といった問題が指摘されています。

近年は、オンラインで利用できるタスク管理・進捗管理ツールが、安価で使い勝手が良いといった理由から高い評価を得ています。テレワークを採用した場合は特に、そのチームのメンバーであればどこからでも最新の情報が入手できるのが利点です。進捗管理のベストプラクティスが機能として実装されているので、生産性の向上が期待できるでしょう。

6. まとめ

テレワークは空間的・時間的制約があり、タスク管理や進捗管理が大きな課題となっています。社員同士のコミュニケーションが不足し、互いの進捗が見えなくなると、プロジェクトの進行を妨げる問題が特定・解決できず、作業遅延へとつながってしまいます。進捗管理ツールを通して業務の見える化を進めると、社員同士のコミュニケーションを促進し、生産性向上へつながるでしょう。

 

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