業務可視化とは?企業での進め方や可視化のポイントを徹底解説

 

昨今の物価高や価格競争、DX(デジタル・トランスフォーメーション)の潮流により、多くの企業が効率化や生産性の向上を求められています。そのための方法のひとつとして業務可視化があります。
トヨタの「あんどん」のように「見える化」は製造業から始まったものですが、デジタル化や効率化という点では進んでいない企業が多い傾向にあります。企業での業務可視化で得られるメリットは大きいですが、どこをポイントに業務可視化を行うべきか、どこから手をつければ良いのかわからない担当者も多いのではないでしょうか。ここでは、業務可視化とは何か、企業で考えられる可視化のポイントを解説します。

業務可視化とは

業務可視化とは、仕事のプロセスを明らかにし、誰もが認識できる形にすることです。属人化している作業や口頭で教育されているような作業などを文書やグラフ、図などで可視化します。業務可視化により「ムリ・ムダ・ムラ」が発見しやすくなり業務改善や生産性向上に寄与します。また、デジタル化の第一歩でもあり、DXの推進には欠かせないものです。業務可視化は「見える化」と同義で使われることも多いです。

業務可視化の目的

業務可視化を進める際には、何を第一の目的に推進するのかを明確にしておく必要があります。目的を明らかにすることで判断基準が定まり、誤った方向に進んでしまうことを防ぎます。ここでは業務可視化の一般的な目的を解説します。

DX(デジタル・トランスフォーメーション)

DXとは、デジタル技術を活用することによってビジネスや組織の活動を戦略的に変革することです。DXを推進する際、デジタル化は欠かせない作業です。
現状の業務を業務フロー図などで可視化し、どこを変革すべきかを検討します。

業務改善、効率化に向けての現状把握

業務改善や業務の効率化、生産性向上を行うには、まず現状を把握するところから始めます。現状を明らかにせずに業務改善や効率化を行うことは非常に難しいでしょう。現状を正しく把握して初めて問題のあるプロセスや改善できそうなプロセスを発見することができます。

BPMやRPA導入のため

DXの取り組みのひとつとしてBPMやRPA(※)の導入を検討するケースも多いです。BPMやRPAを導入する前段階として業務可視化は必須のプロセスです。

※BPM: Business Process Management。業務フローをモデル化し改善点や課題を洗い出し、効率的なフローやあるべき姿に変えていくことで業務改善や業務効率化を行うための手法。
RPA: Robotic Process Automation。繰り返し発生する単調な作業をシステムにより自動化する方法。

関連記事:BPM(ビジネスプロセスマネジメント)とは?進め方やBPMツールの具体例を解説
働き方改革に繋がる、業務効率化を実行する方法は?役立つツールを解説

従業員満足度の向上

業務可視化により、従業員の業務量や内容も明らかになります。一部の従業員に負荷がかかっていたり、高度な作業を行っていたりすることがわかれば、作業の分散やスキルの共有などの取り組みが行なえ、従業員満足度向上にも繋がります。
また、業務内容が明確になることで正当な人事評価も行いやすくなります。

経営の判断材料とするため

業務内容が明らかになると、改善すべき業務や投資を行うべき業務の目処がつけやすくなります。長期的な視点で経営判断を行う際、業務可視化により得たデータは根拠のある裏付けとなります。

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企業で発生しがちな状況

企業で多く発生している状況に、下記のような事象があります。これらは業務可視化で解消できるものであり、解消できた場合、生産性の向上や業務効率化などの大きなメリットがあるため、自社で同じような状況が発生していないか確認し、意識して取り組むと良いでしょう。

属人化

手順やノウハウが口頭で必要な時にのみ共有され、ベテラン従業員によってのみ行われている、または数人しか実施できない作業がある。

非効率な作業

デジタル化されていなかったり、管理するためのツールがなかったり、手作業で情報を管理している。たとえば工程の修正や調整を行おうとすると、影響範囲の把握や修正にも時間がかかり非効率な作業を繰り返している。

進捗が明確でない

生産実績などの記録や抽出をしていない、またはデータを共有しておらず、担当者しか正確な進捗がわからない。

レガシーなシステムを運用し続けている

エクセルでのデータ管理など、デジタル化が中途半端で手作業によるところが多い。業務や担当者によって管理手法がバラバラで一元化されておらず、入力ミスなどで間違いもときどき発生している。

原価計算ができていない

明確に業務管理や生産管理をしていないことで、原価計算ができない状態にある。

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業務可視化で得られるメリット

前項の「発生しがちな状況」の改善を行うことで得られる代表的なメリットとして下記のようなものがあります。

稼働率の向上

業務可視化により、「ムリ・ムダ・ムラ」が明らかになるため、生産プロセスの改善、従業員の業務平準化などにより稼働率が向上します。

残業時間の削減

「ムリ・ムダ・ムラ」の解消により、一部の従業員に作業が集中しているなどの問題を解消できるため、残業時間の削減にも繋がります。
そのため、業務可視化は働き方改革の取り組みとしても非常に有効だと言えます。

脱属人化によるリスク低減

属人化している作業がある場合、担当者の急な病欠や退職は業務の進行に大きな影響を与えます。その他、従業員の教育を行う場合にも、伝達漏れや曖昧な情報伝達の発生、人により作業手順が異なるなどのリスクがありますが、業務可視化を行うことでこれらを解消でき、リスクの低減になります。

企業で業務可視化を行う際の進め方とポイント

実際に業務可視化を進める際にはどのように進めるべきでしょうか。ここでは進め方やポイントを解説します。

業務可視化の目的を明確にし、共有する

目的を明確にせず、なんとなく進めてしまうと期待する効果は得られません。また、業務可視化自体にもコストがかかるため、曖昧な進行は余計なコスト増にも繋がります。業務可視化によって何を目指すのか、何を得たいのか、目的と目標数値を明確にして進めることが重要です。

  • 残業時間10%削減
  • 生産効率5%向上
  • 製品ロス5%削減
  • 製品種別ごとの原価管理と製品価格の見直し

目的によってデータ化すべき箇所を見定める

データ化する対象は多くありますが、何に重きを置いて目標の達成をするのか明確にしたうえで対象を見定めます。小さな改善から始める方針でデータ化しやすいものから始めるのか、効果が高いと思われるところをデータ化するのかなど、企業によって業務可視化にかけられる時間やコストは異なるため、目的、目標、状況によって判断します。

スケジュールを作成する

実施のスケジュールを作成します。このときのポイントは、フェーズを分けてスケジュールを作成することです。
たとえば、フェーズは下記のように分けます。

  • データ化
  • 分析・改善検討
  • シナリオ作成・シミュレーション
  • 実施フェーズ1
  • 実施フェーズ2

この時点ではデータ化して何を行うのか決まっていないため、「分析・改善検討」までのスケジュールまでを計画し、追って後工程のスケジュールを作成します。
各段階で想定していないことが発生した場合は後工程を見直すなどを行います。
また、実施のフェーズは可能な限り段階的な導入にすると良いでしょう。これによりうまくいかない場合のリカバリプランも実施しやすいなど、確実にスケジュールを進めながら失敗のリスクを下げることができます。
また、データ化する際に業務可視化ツールの導入を検討する場合には、ツールの検討期間や試用する期間もスケジュールに入れます。

データ化

対象を決めたら、データ化を進めます。その際ツールを使用するのかエクセルのような表計算ソフトなのか、テキスト文書なのかなど、何を使用するのかも重要なポイントになります。
対象によっては、業務可視化ツールの導入を検討することも視野に入れます。無料のツールや試用期間がある製品もあるため、自社に合うツールの候補を作成し、いくつか試してみると良いでしょう。

データの分析、改善範囲の検討

データ化したものをもとに非効率なプロセスがないか、省ける作業がないかなどを洗い出し、どの範囲を改善対象とするのかを決定します。

実施のシナリオを検討

いきなり導入するのではなく、テスト的にシナリオを実施するなど改善案がうまくいくのかをシミュレーションすることが重要です。シミュレーションのあと、実務に導入します。

PDCAをまわす

業務可視化は導入して終わりではありません。新たな課題が発生することもあるためPDCAサイクルをまわし定期的な改善を行うことで、より高い生産性や効率化を目指します。

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まとめ

業務可視化を行うには時間や手間もかかりますが、対象や進め方を間違えない限り企業経営、従業員共にメリットしかないと言っても過言ではありません。
クラウドログは、工数管理機能や分析機能など、生産性向上や業務改善、業務可視化に役立つ機能が多くあります。ツールの導入はDXや業務可視化を促進させることができるため、是非導入をご検討ください。

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